8月10日 備える相続税3

朝日新聞2018年8月5日24面:自宅残すため負担減の特例 総務省の家計調査で2人以上の世帯のデータを見ると、30歳以上の全世帯で保有資産の半分以上を不動産、つまり「自宅」が占めています。このような家庭にも一律に相続税の負担を求めると、様々な問題が生じます。自宅の名義が配偶者のどちらか一方でも、夫婦で築いた財産です。亡くなった方が一人暮らしでない限り、自宅には家族が住み続けるのが一般的です。相続税は死後10カ月以内に現金一括払いだからこそ、残された配偶者や自宅に住み続ける親族には何らかの配慮が必要になります。
そのため相続税には二つの大きな特例があります。「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」です。「配偶者の税額軽減」は、亡くなった方の戸籍上の配偶者が相続した財産が1億6000万円か法定相続分のどちらか多い金額までなら、相続税がかからない特例です。夫の遺産総額が1億6000万円以下なら、全財産を妻が相続しても相続税はかかりません。「小規模宅地等の特例」は、亡くなった方の自宅用または事業用だった土地の評価額を8割引きまたは5割引きにできる特例です。土地の用途に応じて4種類ありますが、「自宅の敷地」の評価額を上限330平方㍍まで8割引きにできるものが一番よく使われています。自宅の敷地が5000万円なら、8割引きの1000万円で相続税を計算できます。
ただしこれは「要件を満たす親族」が相続した場合に限られます。配偶者が相続するなら、無条件で適用できますが、同居親族が相続する場合、申告期限までその家に住み続ける必要があります。残された家族の住まいを守るのが、特例の趣旨だからです。同居かどうかは住民票だけでなく、生活状況や、他に生活の拠点となる建物があるかなど具体的事実から判断します。嫁いだ娘が親の介護のために一時的に実家に戻って寝泊まりしても、同居扱いになりません。一方、親と同居していた息子が転勤で別居となっても、その妻子が親と同居し続けているなら、息子も同居扱いになります。
配偶者や同居親族がおらず一定の別居親族が相続するなら、相続した家に戻って住み始める必要はないものの、申告期限までは売らずに持ち続けなければなりません。申告期限前に買い手が現れた場合、売買契約は結べますが、物件の引き渡しは申告期限後まで待たないと特例を適用されません。これらの特例は自動的には適用されず、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。また、遺産分割協議がまとまっていない状態では適用を受けられません。相続税軽減という観点からも、もめない相続が重要です。遺産分割協議がまとまらない、申告書の提出が申告期限に間に合わない、などの事情があったとしても、申告書に所定の書類を添付しておけば、申告期限の3年後までは特例の適用を受けられます。小規模宅地等の特例は、他にも細かな要件があり判断基準が複雑です。不安のある方は早めに専門家に相談しましょう。 (ファイナンシャルプランナー・税理士 福田真弓)

 

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