7月31日 原発ゼロをたどって3

朝日新聞2018年7月31日夕刊2面:全国行脚 炎は絶やさない 「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(略称・原自連)顧問の小泉純一郎(76)は、「原発ゼロ」を説く講演で全国各地を飛び回る。その語り口は、首相時代と変わらず聴衆を魅了する。直近の6月5日にあった静岡県浜松市での講演会。メインホールはほぼ満席、別室も含め約2700人が聴き入った。せき払いもはばかれるような緊張感が漂う。小泉は1時間半立ちっぱなしで、ボルテージが上がる。「原発は安全、コストが安い、クリーンなエネルギー。経済産業省が言う3大大義名分は全部ウソだった。これは黙って寝ていはいられないな、と」。行動の原点には、原子力政策で官僚らにだまされていたとの強い憤りがある。小泉のそんな熱い思いにひきつけられ、多くの「同志」が原自連に集う。顔ぶれは多彩だ。浜松での講演でも主要メンバーが客席の片隅に座っていた。こんな人がいた。
科学技術庁長官や自民党幹事長を務めた小泉側近の中川秀直(74)。原自連の2017年4月の発足会見で中川はこう語っている。「自然エネルギーでやっていける時代が来た。その最先端の日本でありたい。(原子力開発を担って)一番反省しなければならない科学技術庁長官だった私が、心からそう思う」
静岡県湖西市長の三上元(74)は福島の事故後、元経営コンサルタントの経験から、いち早く「原発は高い」と唱えた。軽妙なフットワークで12年4月には、東海第二原発(茨城県)の廃炉を訴えた東海村長(当時)の村上達也(75)らと「脱原発をめざす首長会議」を設立している。こうして、人が、運動がつながっていく。
原自連事務局次長の木村結(66)はチェルノブイリ原発事故後に脱原発運動に飛び込んだ「筋金入り」だ。いま、東京・四谷にある原自連事務所を守る。小泉や原自連幹事長の河合弘之の臆せずモノを言うので「猛獣使い」と称される。事故で会社に損害を与えたとして、東京電力の旧経営陣に約22兆円を会社に払とえ求める東電株主代表訴訟の原告団事務局長でもある。「ギネス級」の請求額が話題になるが、それだけ大きな被害を表すもので笑えない。これらの面々も、請われたらその地に飛んで「原発ゼロ」を訴える。積極的に取り組んでいる各地の団体の表彰も始めた。河合と環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也(59)が世界の自然エネルギーの急成長をリポートしたドキュメンタリー映画「日本と再生」の上映会も重ねる。
原自連発足から1年余りで、登録する団体数は300に達した。小泉は今回、私たちの取材にこう説明した。「原自連は、『原発ゼロ』にしようという『炎』をね、絶やさないようにする。その拠点として各地域で地道にやっていく。そういう国民運動としてやっている」活動には新な取り組みが加わっている。国として原発廃止の方針を打ち立てる「原発ゼロ基本法」をつくろうというものだ。 =敬称略 (小森敦司)

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