7月28日てんでんこ 九州と豪雨「6」合意形成

朝日新聞2018年7月24日3面:住民不在の復興は要らない。「全部の集落で会議を開くぞ」 なぜこんなことにー。2017年7月の九州北部豪雨の数日後、福岡県朝倉市杷木林田の東林田地区を訪れた九州大教授の島谷幸宏(62)は胸を痛めた。集落を流れる赤谷川が、蛇行する川筋を無視して一直線に住宅を押し流し、新しい川ができていた。河川工学の専門家として、元区長の林清一(70)から助けを求められ、駆けつけた。
林との縁は5年前から。近くを流れる白木谷川で12年春から始めた小水力発電プロジェクトに林が参加していた。赤谷川が氾濫そた12年7月の豪雨では、島谷の研究室の学生が復旧支援のボランティアで地区に入った。住民からは、復興したいという強い意思を感じた。そのためには、新しい川と元の川をどうするか、決めなければならない。島谷には災害復興の進め方について信念に近い思い入れがあった。
東日本大震災の後、海や川の堤防の復旧のあり方を検討する国の検討会で座長を務め、「構造物は、地域性に配慮したデザインとする必要がある」とする手引きを11年11月に取りまとめた。景観の重要性を示したが、被災地には巨大な防潮堤が築かれていった。復旧が進むにつれ、「こんな巨大な防潮堤は要らなかった」という声が耳に入ってきた。地域の代表だけでなく住民一人ひとりの意見まで丁寧にくみ取り、復興に反映する仕組みが必要だと痛感した。16年4月の熊本地震では熊本市内の実家が被災した。使える状態だった実家を地域の復興拠点と位置づけ、自治会の住民に集まってもらい、復興の進め方を話し合った。
「それがすごくよかったんですよ。小さな単位での話し合いが、被災者の力になった」。地域のコミュニティーが強まり、顔を合わせること自体が住民の精神的な支えになっていったのを実感した。朝倉市には東林田地区を含む旧杷木町だけで50の集落がある。島谷は腹をくくり、教え子の九州大助教、林博徳(38)に宣言した。
「被災した全部の集落で会議を開くぞ」林博徳は天を仰いだ。一つの集落会議を取りまとめるだけでも、とてつもないエネルギーが要るのに、本気なのかと。(竹野内崇宏)
🔶てんでんこ 想定にとらわれず、最善を尽くし、率先避難者たれ。ばらばらに逃げるという意味が発展。

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