7月27日 一橋大 寮費4~5倍値上げ検討

東京新聞2018年7月23日20面:困窮学生の救済薄れ 大学生はお金がない。地元を離れ、物価の高い都内で暮らすのならなおさらだ。そんな苦学生の助けとなっていたのが月額数千円で住める大学の寮。しかし、近年は国立大学でも、数万円に値上がりしているケースが少なくない。一橋大は来年度からの新入生を対象に、一気に4~5倍に値上げすることを検討しており、学生から反発を招いている。(石井紀代美)
大学側「受益者負担」 18日夕、東京都国立市の同大西キャンパスにある教室には、値上げに反対する学生ら50人が集まった。値上げは来年4月に入学する寮生が対象だが、ある学生は「同じ場所に住んでいるのに寮費が違う。先輩と後輩の人間関係が悪くなる」と心配する。複数の学生によると、大学側から値上げを知らされたのは5月末、数百人が入居する4つある寮のうち1つの寮の学生に送信された一斉メールだった。部屋のタイプで異なるが、これまで月額5900円(共益費、光熱費別)だった単身用の部屋が24000円になるなど、軒並み4~5倍に跳ね上がっていた。
修士の男子学生(25)は「大学院生は本当に金がない。値上がる分、バイトの時間が増えて研究時間が減る。今後、一橋から出る研究者が減るんじゃないか」と危ぶむ。国立大学が法人化された2004年以降も文部科学省は、経済的困窮者に教育の機会を確保するための施設と寮を位置付け、寮費の上限(単身用は4300~5900円)を設定。ところが、法人化後の06年に撤廃され、各大学は学生の負担が重くならないよう配慮すれば、独自に決められるようになった。
同じ多摩地区にある国立大を見てみても、寮費にばらつきがある。東京芸大(小金井市)は4千円台、東京農工大(府中市)は3万円台が多くなっている。大学寮に詳しい日本大の望月由起教授(教育社会学)は「ここ数年、留学生との交流や人間形成の場として寮を打ち出す大学もあり、建て替えを機に値上げする。そのため、困窮学生の救済という機能は相対的に薄らいでいる」と語る。
では、一橋大はなぜ値上げをするのか。「こちら特報部」は理由を聞いたが、広報担当者は「対応できる人がおらず回答できない」。ただ、複数の学生証言によると、同大の沼上幹副学長(経営組織論)が7日、一部の寮生に対し、詳細を答えていた。出席した学生によると、沼上副学長は寮の運営で年間約8千万円もの赤字が出ていると説明。その上で、他の学生よりも寮生が8千万円優遇されているという認識を示し、値上げについては「受益者負担。学生の平等を図るため」と持論を展開した。「詳しい支出の内訳を示して」という学生の求めは却下。また、学生に配慮すれば、徐々に値上げする手法も考えられるが、「寮費微収の事務コストが非常にかかるため、1回で上げる結論に達した」と話したという。
同大出身で、寮生活を経験した駒沢大の明石英人准教授(社会経済学)は「大学側のやり方が非常に雑。赤字が出たのは、大学を経営する役員の見通しがそもそも甘かったからだ。学生は何も悪くない」とし、こう指摘する。「あくまでもビジネス的にやるのなら、まずは『最高経営責任者(CEO)』が責任を取るべきだろう。役員報酬や天下りポストを削れば、それだけで数千万円は浮く。そうして、学生の負担をなるべく軽くするのが筋だ」

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