7月24日 白球の世紀133

朝日新聞2018年7月20日夕刊12面:学ぼう野球で学校で 相手エースが制球に苦しむ様子をベンチから見て、甘い球は初球から振ろうと決めていた。第100回全国高校野球選手権記念大阪大会。春の選抜優勝校の大阪桐蔭は今月16日、初戦の四條畷を9-0の七回コールドで下した。3年生の根尾昂(18)は5番、遊撃手として出場。初球をたたいて3安打、2打点をあげた。根尾は試合後、「相手の隙に付け込む攻撃ができた。全員が笑って終われる夏にしたい」と語った。根尾は岐阜県飛騨市で中学まで過ごした。両親はともに市内の診療所の医師で、共働きの親にかわり、地域の住民が幼少期の根尾を預かった。母の実喜子(51)は「雪かきや子育てなど住民が助け合う町で、幼い頃から指図されることなく気長に育ててもらった。自分で考える習慣はそこで培われたのかなと思う」と振り返る。父の浩(52)も「勉強も含めて昴に口出しすることはなかった。考える材料を与えて、見守るだけだった」と話す。根尾は、浩が撮影したビデオで自らのプレーを見直しては、フォームなどを改めた。
中学では「温故知新」を掲げ、生徒会長を務めた。試合では攻守交代でベンチから走って守備につく際、毎回グランドに一礼する姿がある。「父からは『礼に始まり礼に終わる。勝つだけの選手でなく、人としてやるべきことをしなさい』と言われてました」大阪桐蔭監督の西谷浩一(48)は「ユニホームを脱いだ時に信頼される人やリーダーになれるよう、高校野球を通じて学んでほしい」と指導する。今月開幕した北大阪大会前、根尾は子どもたちへのメッセージをマスコミに求められ、こう語った。「野球を頑張るのも大事だけど、学校で学べることの方が多い。グランド外でも成長してほしい」 時代とともに変わる社会の中で、様々な思いを胸にしまう球児たち。きょうも各地の球場で白球を追いかけファンは声援を送る。 (五十嵐聖士郎) =おわり

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