7月24日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2018年7月20日25面:使う予定ないけど・・ 「今、いらないものをバンバン捨てている」引っ越しするという人が、そう言っているのを聞くと、ああ、わたしもいらないものを捨てたい、と思う。家はわりといつも片付いているのだけれど、自宅が職場なので書類も多い。スカーッと、なんにもない部屋になったら気持ちがいいだろうなぁと思いながら、紙の山を眺めているのだった。必要ないけれど、捨てにくい。そういうものもある。
たとえば、「ご入学おめでとうございます」と書かれた祝儀袋。小学生の男の子がランドセルを背負っている、かわいいイラスト付きだ。はるにお祝いを贈ることがあって買ったのだが、どこにしまったのか忘れてしまった。結局、買い直したものの、夏前に書類の間から出てきた。新品である。
しかし、使う予定がない。かといって、空の祝儀袋を誰かにあげればよいのかわからない。たこ焼きの舟皿、というのもある。屋台の使い捨て木製舟皿である。展覧会の飾り付けで使うために専門店で100枚入りを買ったのだが、まだ半分ほど残っている。小物入れにするには頼りない。とはいえ、晩ご飯の皿として使うのもどうか。いや、案外、楽しいのかな? それより、ピクニックのことに使えばかわいいかもしれない。ピクルスを入れた舟皿。色とりどりのマカロンを入れたフ舟皿。斬新かも! ピクニックなどしないくせに捨てられずにいる。最近、実家の母が自分の昔のアルバムを整理し始めている。幼少期や、女学生時代の白黒写真。「え、なんで捨てんの?」わたしが驚くと、「だって、残しててもしゃぁないやん」本人はケロリ。母の写真は母のもので、母の思い出も母のものである。娘が口出しすることでもないので、「へぇ、そんなんや」と、わたし。とはいえ、やはりしんみりするものがある。 (イラストレーター)

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