7月23日てんでんこ 九州と豪雨「3」線状降水帯

朝日新聞2018年7月19日3面:「なぜ動かないんだ」。九州初の特別警報が発令された。 九州7県と山口県を管轄する福岡管区気象台の主任予報官、横光雅種(55)は2017年7月5日午後3時どこ、福岡市中央区にある執務室の降雨レーダー画面に釘付けになっていた。「この線状降水帯は、なぜなかなか動かないんだ」横光は九州各県で経験を積んだ15人の予報官を束ねる。この日の気象条件はそれほど悪くはなかった。警報級の大雨になる可能性は予想していたが、その確率は午前5時時点で2段階のうち低い方の「中」と発表していた。正午過ぎ、福岡県朝倉市周辺をとらえたレーダー画像に、強い雨が降り続ける地域があることに、横光は気付いた。積乱雲が次々と発生して帯状に並ぶ、線状降水帯。ただ、経験上、短時間で移動したり、消えてしまったりする場合がほとんど。朝倉市周辺で発生しやすいという印象も特になかった。
ところが、線状降水帯は動かない。猛烈な雨を観測し、午後1時28分、気象台は朝倉市付近に「記録的短時間大雨情報」を発表した。その22分後に2回目、さらに1時間22分後に3回目。横光は異常な事態を確信した。午後5時51分、数十年に一度の重大な災害が予想される「大雨特別警報」を発令した。九州では初めての事態だった。特別警報発表の12分前、当時、朝倉市の防災交通課長だった草場千里(58)の携帯電話が鳴った。福岡管区気象台からだった。
「尋常じゃない雨が降っています」草場は午後1時過ぎから市役所別館1階の一角に詰めて、気象台などから送られてくる情報を取りまとめていた。緊急用も含めた課の5台の電話は鳴りぱなしになった。直接の担当職員は4人しかいない。「対応に追われ、初めは裏紙にメモしていた。異様な状態だった」。草場は振り返る。レーダー画像は手元にあっても、現場の状況を直接見るすべが、草場らにはなかった。「危ない、出した方がいい」。現場からもあった。「過去の経験、特に12年の九州北部豪雨の体験に基づき情報収集していた。まさか今回のような規模の被害が起こっているとは、想定できていなかった」線状降水帯は結局、約9時間にわたって被災地上空を覆い続けた。 (竹野内崇宏)

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