7月23日 白球の世紀132

朝日新聞2018年7月19日夕刊10面:地元離れ応援受ける 戦後の経済成長やベビーブーム、バブル経済の崩壊、相次ぐ災害ー。高校野球の歴史は日本社会の歩みとともにあった。現代の少子化の影響は高校野球も例外なく受けている。部員不足の高校による連合チーム結成も2012年に認められた。今夏の全国高校野球選手権の地方大会には3920校、3781チームが参加している。第100回となったこの節目の大会で注目を集める選手がいる。今春の選抜大会決勝の4月4日。阪神甲子園球場から遠く離れた岐阜県飛騨市で、パブリックビューイングが開かれた。集まった約60人の視線の先にいたのは、地元出身の大阪桐蔭3年根尾晟(18)。
富山県境に近い山あいで、3人きょうだいの末っ子として育った。小学2年の時、3歳上の兄にならって野球を始めると、1年後にはソフトボール投げで50㍍超を記録し、6年生の記録をも超えた。「人気のない町で、遠投が好きでずっと投げていた記憶があります」と根尾。プロ野球の中日の試合をテレビで見て、選手が価格好良く思えた。小学生の時、続投した試合で押し出し四球を出して敗れたことがあった。父の浩(52)は「試合後、チームメイトから声をかけられ、仲間のいる野球がより好きになったのでは。それからは、ひたむきに練習するようになった」と言う。根尾は中学時代、スキーの全国大会で優勝するほどの実力があったが、野球の道を選んだ。トップレベルで野球をしたいと進学した大阪桐蔭は、春夏の甲子園に過去19回出場の強豪。根尾は投打の要を任され、今春の選抜決勝では背番号6をつけながら先発完投した。
それでも根尾は「まだ地元の応援には応えられていない。夏の甲子園で優勝してこそだと思う」と語る。監督の西谷浩一(48)は「負けず嫌いで強い向上心がある。99点ではなく100点を目指すプレーをしてほしい」と期待する。根尾の最後の夏、第100回の北大阪大会が今月始まった。 (五十嵐聖士郎)

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