7月19日 新聞を読んで

東京新聞2018年7月15日5面:保育の規制緩和 懸念 待機児童解消が重用課題となり保育士の処遇改善が進むが離職の大きな原因のひとつ、長時間労働と業務過多も見過ごせない。6月18日暮らし面では、愛知県の1万人調査の結果を受けて保育士の残業時間について大きく取り上げている。調査にあたった名城大学の蓑輪明子准教授が「現場に人を増やす必要がある」と言及。残業時間が把握されたことで、残業せずに働くための人員体制が割り出せるはずだ。認可保育所は、ゼロ歳児3人に対して保育士1人など年齢ごとに配置基準が定められている。保育所が増えて必要人員の確保が困難になると、政府は6月14日、国家戦力特区諮問会議で、配置基準の6割以上を保育士で満たせばいいという緩和策を打ち出した。運営費用は認可保育所と同じく出るという。
質より量が優先されたことの”事件”を本紙は報じていない。長時間労働で疲弊するなか有資格者を減らした保育所に子どもを預けて働けるか。人員体制の強化について踏み込むべきだ。保育を必要とするのは共働き世帯だけではない。そもそも保育所とは福祉施設でもあり、虐待から子どもを守る役割や保護者支援の役割も担う。
東京都目黒区で虐待を受けて死亡した船戸結愛ちゃんに関する報道では、警視庁捜査一課長が発見されたノートの文章の一部を読み上げながらハンカチで目元を押さえたと描写された。いかに胸を痛める事件だったかを行間で読ませた。(7日、9日社会面)。児童相談所の機能強化が注目されているが、両親の雇用環境、子育て環境はどうだったのか。結愛ちゃんの両親は無職だった。目黒区は待機児童が多く、親子の保育所というセーフティーネットから零れ落ちる弊害も問いたい。
東京・秋葉原で起こった無差別殺傷事件から10年。当時25歳の派遣社員だった加藤智大死刑囚の運転するトラックがホコ天に突っ込み、ダガーナイフで通行人を殺傷した事件についての連載「アキバの傷痕」が6月3日から始まった。「自分は不要」「世間に認められない」と加藤が犯行前にネットに書き連ねていた(3日社会面)。事件は、安価な労働として切り捨てられる人たちの不満と怒りの爆発だったと振り返る。こうした世代を保育所が受け止めることになる。保育と雇用の規制緩和の背後には、規制改革会議の存在がある。「待機児童になるよりはいい」「非正規でも失業するよりいい」と、必要な財源を投入しないで国は規制緩和に頼った。その失敗を繰り返せば、日本経済が「失われた30年」から脱却することはないだろう。何より、二重の規制緩和によって苦しんできた世代を救わなければならない。 小林美希(ジャーナリスト) *この批評は最終版を基にしています。

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