7月18日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2018年7月13日29面:今朝も立っている 「立たない朝」「立つ朝」アナタが落としたのはどちらの朝デスカ~~? と、沼地のほとりで神様に聞かれて、わたしは、うっかり「立つ」ほうを握ってしまった。正確に言うと「朝、横断歩道に立つオバサン」を、やっているのだった。最近、しまった、髪を短く切りすぎて(うしろ、刈り上げ。)、もしかして「朝、横断歩道に立つオジサン」に見えているかもしれない。そこ、不安だが、 ・家の前が横断歩道 ・ご近所の小学生4人がうちに集まってから登校。 で、なんとな~く立って3年目。横断歩道にも三年。
途中、ふと、学校から全家庭に配られている「PTAパトロール隊」と印字されている黄色い腕章をつけて立つようになったら、車がおもしろいくらいバシバシ止まって「日本人、腕章に弱い」ってこれ、「漫画家」って書いてあっても止まるんじゃない? なんて、おもしろがったのはいつだったか。寒い日もあったけど、最近は暑い。立つのが8時頃だから、朝ドラの「半分、青い。」を「半分、見てる。」になっている。汗をたらしながら、「朝、立たない生活」も、選べたんじゃ・・と、妄想するようになった。パジャマのまま家の中で「いってらしゃーい」も、あったはずだ。急いで服着ない、あわてて日焼け止め塗らない朝が。今朝は腕章つけ忘れて不安になった。わたしも腕章に弱い日本人・・ ある日、仕事の飲み会で、「朝、立っているんです~」と、ぼやいた。締め切りなどで悪行の限りをつくした漫画家のぼやきに、昔からの知り合いは、わいた。「エライね~」「大変でしょ」が、中心の中、「いや、」一人、オジサマ編集者さんが手を挙げた。「イトウさん、横断歩道が似合っている」と、指をさされた。みんな笑った。何かが落ちた。見たら「腑」だった。そうか。似合っているなら、しょうがない。今朝もわたしは立っている。似合っている。(漫画家)

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