7月17日てんでんこ 自然エネ100%「27」アート

朝日新聞2018年7月14日3面:「未来に希望を持てるようなポジティブなエネルギー」。彫刻に思いを込める。 あどけなく笑う顔には傷やばんそうこう、右手には希望の象徴である太陽、左手にはヘルメット。放射線防護服をまとった高さ6.2㍍の子供の像は、放射能との闘いを終え、安心な未来を取り戻した世界を描いている。福島市内の教育文化施設に8月、現代美術作家ヤノベケンジ(52)の巨大彫刻作品「サン・チャイルド」が置かれることになった。
ヤノベはチェルノブイリ原発事故などをモチーフに作品をつくり、福島第一原発事故を予言していたのではないかと評判になった。だが、本人は事故直後、「厄災を呼び込んだのではないか」とぼうぜんと過ごす。数日後、京都造形芸術大学教授でもあるヤノベは、「アートに何ができるのか」と思い悩む自身と学生をブログで鼓舞する。「芸術が必要か? の問いにはっきりと答えたい。今でこそ必要だ。と」
「未来に希望を持てるポジティブなエネルギーを送りたい」との思いを込めたのが、サン・チャイルドだ。2011年10月に大阪万博記念公園で初公開された。3体つくられ、福島空港や東京、イスラエルなどを巡回し、1体は大阪府茨木市で常設展示されている。ヤノベは、会津電力(福島県喜多方市)の社長、佐藤弥右衛門(67)の「福島から日本のエネルギーを変える」という考えに共感する。14年に福島県飯舘村に佐藤らが飯舘電力を立ち上げるころ、「風神の搭ーイイタテ・モンスター・タワー」を制作する。巨大な黒い化け物が、風を起こす袋を両手に抱え、背中に三つの風車を背負う。口からは水を吐き出し、原発をみらみつける。事前エネと水による循環と浄化、雨風をもたらす風神を表している。あまりにも生々しいので、いまだに福島の地を踏んではいない。
サン・チャイルドは2年前、佐藤が代表理事を務めるふくしま自然エネルギー基金に贈られた。巨大さゆえに置き場所に困ったが、福島市が名乗りを上げ、寄贈が決まった。そのあどけない笑顔は、原発から自然エネへと変わる福島のエネルギーの未来を見据えているようだ。ヤノベは言う。「僕は断定していない。美術表現には解釈の可能性がある。見る人が広げていけばいい」(石井徹)

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