7月16日てんでんこ 自然エネ100%「26」石炭火力

朝日新聞2018年7月13日3面:風当りが強まるがかり。原発に続く「負債」にならないとは言い切れない。 「世界最新鋭のIGCC(石炭ガス化複合発電)によって、雇用や経済圏を回復し福島復興に貢献したい」。東京電力の小早川智明(55)は誇らしげにあいさつした。「新しいエネルギーと新産業の創出を後押しするものだ」。福島県知事の内堀雅雄(54)のメッセージも代読された。今年4月、同県広野町での起工式のシーンだ。
東電や三菱商事などによる事業会社が、3千億円以上をかけて広野町と同県いわき市に出力54万㌔ワットのIGCCを1基ずつ建て、2020年代初頭の運転開始を目指す。IGCCは、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の排出が従来の石炭火力発電に比べて2割少ない。ただ、石油火力とほぼ同じで、最新鋭のガス火力に比べれば倍以上だ。「自然エネルギー(再生可能エネルギー)100%」をうたう県方針と整合するのか。県エネルギー課は「県の再生エネ推進ビジョンは、『2040年を目途に県内需要の100%以上相当を再生エネで生み出す』というもので、矛盾はしない」という。
福島県では、IGCCは再生エネ推進ビジョンとは別の「新産業の集積」「雇用の創出」という目的で進められてきた。県が東日本大震災の5ヵ月後にまとめた「復興ビジョン」は「原子力に依存しない社会づくり」を掲げ、原発に代わる雇用の場として「高効率の火力発電」と記した。IGCCはその後、原発被災地復興に向けた「福島イノベーション・コースト構想」に組み込まれた。世界では、石炭火力に対する風当たりは強まるばかりだ。石炭からの「ダイベストメント(投資撤退)」を表明した企業や投資家などの運用資産は6兆㌦(約650兆円)を超え、石炭に依存する日本の電力会社や商社も直撃を受ける。第一生命保険が海外の石炭火力事業のプロジェクトファイナンスへの新規融資をやめるなど、日本でも機関投資家や金融機関に石炭離れの動きが出始めている。
日本は「50年に温室室効果ガス80%削減」を目標とする。国際的には「今世紀後半に排出ゼロ」というパリ協定がある。いかに最新鋭でも、いずれ石炭火力は投資が回収できない「座礁資産」になるおそれもある。IGCCは将来を担うか。福島県にとって原発に続く「負債」にならないとは言い切れない。
(奥村輝、上田俊英)

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