7月15日てんでんこ 自然エネ100%「25」洋上風車

朝日新聞2018年7月12日3面:超高層ビル並みの高さの3基。設備利用率は低く、商用化は見通せない 世界最大級の風車が間近に迫る。福島県いわき市の久之浜漁港から船で1時間弱。超高層ビル並みの高さの浮体式洋上風車3基と変電所による実証研究事業が続いている。「漁礁の効果があるのか、ワラサやシイラ、サバなどの回遊魚が集まってくる」。釣り船を操る船長の石井宏和(41)は、風車を見上げて言う。太平洋に面する福島県の海域は、今春までに主力魚種の出荷制限が解除された。県や漁協による検査では、放射性セシウムはほぼ不検出となっている。だが、漁獲量は東日本大震災前の13%で、本格操業は見通せない。
福島第一原発事故後、洋上風車の実証事業計画が持ち上がった時、漁業者からは「おれたとの漁場をさらに奪うのか」との声が上がった。事業海域に漁業権は設定されていないが、底引き網漁などの漁場になっている。経済産業省と丸紅、東京大学、三菱重工などによる共同事業体は、「漁業との共存」を誓い、漁協から実証事業の了解を得た。「福島の復興」を目指して2011年度に始まった事業では、最終の今年度までに585億円をかけ、3基の浮体式洋上風車が設置された。「ふくしま」の後に、小さい順に「未来」(出力2千㌔ワット)、「浜風」(5千㌔ワット)、「新風」(7千㌔ワット)という名がいている。
過去2年間の設備利用率は「未来」が34%、「浜風」が12%(運用開始後の昨年2月以降)、「新風」が2%となっている。陸上商用化は見通せない状況だ。「成功するなら我慢もするが、うまくいかないことは最初から分かっていた」。相馬双葉漁業同組合で底引き船主会長を務める高橋通(63)はいらだちを隠さない。
「あそこは漁場として重要な場所。高速道路の真ん中に電柱を建てるようなものだ。実証事業が終わったら全部撤去してほしい」漁業者の中には、巨大風車を漁業に生かす道を探る動きもある。石井は「周辺海域を海洋保護区に設定して資源管理型漁業のモデルにできないか」と提案する。洋上からは、事故処理が続く福島第一原発、廃炉が決まった第二原発、広野火力発電所も見える。石井は「エネルギー問題を学ぶにも絶好の場所だと思う」という。 (石井徹)

 

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