7月14日てんでんこ 自然エネ100%「24」水素

朝日新聞2018年7月11日3面:原発誘致は白紙撤回された。その予定地に新しいエネルギー施設の建設が進む。 東京電力福島第一原発で全町民が非難した福島浪江町の沿岸沿いで、大規模な造成工事が進む。2020年の東京五輪・パラリンピックで使うため、太陽光発電で水を電気分解して水素を製造する世界最大級の施設をつくるという。国主導による「福島イノベーション・コースト構想」の中核事業だ。予定地の棚塩産業団地は、かつて東北電力が浪江・小高原発を誘致した場所だった。町議会は1967年に原発誘致を決議し、福島第一原発事故後の11年12月に白紙撤回した。
東北電力は原発を断念し、13年、128㌶を町に譲渡する。昨年8月には、国立研究開発法人の新エネンルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が東北電と東芝、岩谷産業による水素製造のプロジェクトを採択した。水素製造の誘致を主導したのは町長の馬場有だ。昨春の避難解除の祭、町は復興計画に「水素エネルギーを活用したまちづくり」を盛り込んだ。副町長の本間茂行(45)は「町長はいつも『水素、水素』。非常時に対応できることに魅力を感じていた」と言う。
「原発をつくらなくて本当によかった」。この春、7年ぶりに自宅に戻った地権者の前田知義(79)は、つくづくそう思う。当初は原発に反対したが、途中で賛成に転じた。ただ、住民の反対運動は消えることなく、福島第一原発事故で計画は水素に変わった。だが、前田は完全に安心しているわけではない。「原発のようにここにいられなくなることはないだろうが、爆発が起きても大丈夫な対策が必要だ」と言う。
昨年11月30日、風力発電から水を電気分解して水素をつくる実証施設(北海道苫前町)で、爆発事故があった。酸素の排気管が凍結して圧力が高まり、水素と混じって着火したのだ。タンクが破裂して施設の屋根やシャッターが壊れた。けが人はいなかったが、NEDOは調査結果を踏まえて今年6月に住民説明会を開き、施設の設計をやり直している。水素の活用が最も期待されるのは燃料電池車(ECV)だ。だが、世界的には電気自動車(EV)へのシフトが進む。政府が昨年12月に「水素基本戦略」で描いた水素社会は実現するのか。浪江町には目が離せない状況が続く。水素社会の到来を夢見た馬場は今年6月27日、胃がんのため、69年の障害を閉じた。(石塚広志、石井徹)

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