7月10日てんでんこ 自然エネ100%「21」菜の花

朝日新聞2018年7月6日3面:農の復活だけにとどまらない。地域でのエネルギー環境を目指す。 東京電力福島第一原発から北へ約20㌔。福島県南相馬市原町区の杉内清繁(67)が色づいた。今月中旬に刈り取り、搾油し、食用油として売る。原発事故で避難を余儀なくされた杉内が目指すのは、農の復活だけでにとどまらない。将来は、菜の花の油かすを馬や牛の飼料として、そのふん尿をバイオマス発電に使う。地域内でのエネルギー環境を目指している。
杉内の土地はぎりぎり避難指示区域を免れたが、周辺住民とともに自主非難せざるを得なかった。家族を連れて、避難先を転々とした。2011年4月、有機農業の「先生」だった栃木県のNPO法人民間稲作研究所の理事長、稲葉光国(74)から「放射能と向き合う研究をやりたい。手伝ってほしい」と誘いを受け、移住した。栃木県も放射能で汚染された土壌が問題になっていた。原因は主に放射性セシウム。それを吸収する植物を調べた。菜種、ヒマワリ、大豆などを育て、根や茎を分析した。同年9月、南相馬市での講演会で菜の花を使った農地再生プロジェクトの話を聞いた。名古屋市のNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」理事の河田昌東(78)が、チェルノブイリ原発事故の地域で、07年から実験的に取り組んだ除染効果の聖歌を報告していた。「これだ」と思った。
すぐ自身の田0.7㌶に菜種をまき、育った各部位を調べた。翌年には1.2㌶に広げ、搾った油を東京の検査機関で調べた。セシウムは移行していなかった。14年に一般社団法人、南相馬農地再生協議会を設立し、杉内は代表理事になった。搾った菜種油は、地元の高校生が「油菜ちゃん」と名付けて売り出した。
菜の花畑は14年に12㌶、15年に35㌶へと急拡大し、昨年は福島県飯舘村の農家も参加して97㌶まで広がった。搾った約6㌧のうち半分はマヨネーズなどの加工品に、残りは天然素材にこだわる英国の化粧品メーカーのせっけんの材料になった。今年2月には自前の搾油所も地区に完成した。期待したほどの収穫量がない農家もいて、「やっみると意外に栽培が難しい」と杉内は言う。エネルギー生産に向かう道は険しが、歩みを止めるつもりはない。(石塚広志)

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