7日てんでんこ 皇室と震災Ⅱ【22】

朝日新聞2017年8月4日3面:県職員が口止めした「極秘の面会」。両陛下は自分たちから明かした。 熊本県環境センターは熊本県水俣市の水俣湾のすぐ上の丘にある。2013年10月27日正午ごろに水俣市入りした天皇、皇后両陛下は、チッソ水俣工場から排出された水俣湾の水銀ヘドロを埋め立てた跡地を公園とした「エコパーク水俣」に立つ「水俣病慰霊の碑」で供花。近くの環境センターで昼食をとり、休憩することになっていた。
午後2時ごろ、車いすに乗った胎児性水俣病患者の加賀田清子さん(61)と金子雄二さん(61)の2人を連れて、患者らが通う施設「はっとはうす」の加藤タケ子施設長(66)が環境センター応接室に入ると、両陛下が2人だけで待っていた。
皇后さまが「これまでご苦労されましたね。15年たつんですね。杉本栄子さんとご苦労されてこられたんですね」と、水俣病患者の杉本さん(08年死去)と「ほっとはうす」を発足させて15年になることに言及した。施設で作っている押し花について、加藤さんが「水俣は豊かな自然があり、職員がつんできた野花を押し花にするんです」と説明した。加賀田さんが「どうぞ」と押し花のしおりを差し出し、金子さんは押し花つきの自分の名刺を出した。皇后さまは「丁寧なお仕事なのね。いただいていいんですね」とハンドバッグから懐紙を取り出し、名刺やしおりを包んで、しまい込んだ。
15分と言われた面会は20分を過ぎてもなお続いた。加賀田さんんが「お体に気をつけてください」と両陛下の健康を気づかい、加藤さんが「まだ苦しんでいる患者がいます。水俣病は終わっていないんです」と伝えた。
両陛下は患者2人の手をとり「体に気をつけてがんばってください」と励ました。面会後、加藤さんらは県職員から「夢を見ていたと思ってくださいね」と口止めされた。しかし両陛下はその1時間半後、環境センター隣の水俣病資料館で「水俣病資料館語り部の会」の語り部と会った際、その「極秘の面会」のことを自分たちから明かした。
金子雄二さんの母、スミ子さん(16年死去)が語り部の一人としてあいさつすると、両陛下は「いま息子さんに会ってきましたよ」。杉本栄子さんの夫で「ほっとはうす」理事長の雄さん(15年死去)にも「加藤さんと会ってきましたよ。栄子さんと2人で苦労されましたね」と告げた。(北野隆一)

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