6月9日 NHK受信料微収業務の企業

東京新聞2018年6月4日22面:異例の上場 市場は冷静 売り上げの8割をNHKから委託された受信料微収業務が占める都内の企業が4月末、東証ジャスダックに上場した。最高裁が受信料制度を合憲と初判断し、追い風が吹くNHK。その根幹を縁の下で支える会社の市場での評価はどうなのか。他方、NHKは委託費の詳細を明かしておらず、専門家は「情報開示が必要だ」と指摘する。(皆川剛)
「NHKの微収業務が売り上げの大半を占める企業の上場は記憶にない」(野村証券の元村正樹氏)「特殊な事業内容で、類似の新規上場は聞いたことがない」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)ベテランのアナリストが「前例を知らない」と口をそろえる上場を果たしたのは、エヌリンクス(東京都豊島区)。有価証券報告書によると、2018年決算期の売り上げ約40億円のうち、80%をNHKの契約収納代行が占める。
4月27日の上場日には、公開価格の2.1倍となる3780円を初値を付けた。同日中に4915円まで上げたが、利益確定の売りが優勢となり、3080円のストップ安で初日を終えた。その後の1ヵ月、おおむね2500円前後を推移している。この間、投資家が反応しそうなニュースもあった。NHKは先月、17年度の速報決算を発表。受信料収入が過去最高の6914億円に上り、支払率も初めて8割を超えたことが分かった。
特に、受信料制度を合憲とした最高裁判決が出た昨年12月から今年3月までに、自主的に新規契約を申し出た例が13万件以上にのぼり、前年に比べ10万件増えた。だが、株価への影響はなかった。井出氏は「NHKが好調でも、委託先の売り上げが急に倍になることは考えづらい。初値が実力よりも高く付いたケースで、2500円が当面の落ち着きところだろう」とみる。市場の冷静さと対照的に、エヌリンクスは波に乗っている。18年決算期にNHKから得た営業利益は3億6千万円。新規の受託もあり、前期から6千万円の増益となった。「事業者さまは、在庫リスクを負わずに事業拡大が可能です」
司法の力で微収容易に「委託費の説明を」 受託法人を募るNHKのホームページには、こう書かれている。初期投資や保証金は不要で、携帯端末は無償で貸与される。09年に外部委託を始めて以来、人材派遣や通信、不動産など多様な会社が参入しており、NHKによると、今年3月時点で委託先は327社にのぼる。訪問員の育成に3ヵ月、定着に12カ月、「さらなる規模の拡大も可能」。ホームページには民間企業の利潤追求という動機をあおるような文句も並ぶ。
委託先の法人にどのようなノルマを課し、視聴者が払う受信料の何割を回しているのか。NHKは取材に「委託費の詳細は公表していない」として、「事業者の選定にあたっては競争入札を実施するなどとして、公平性や透明性の確保、コスト削減に努めている」と述べるにとどまった。元NHK経営委員長代行の上村達男・早稲田大教授(会社法)は、こうしたNHKの姿勢を疑問視し、次のように指摘する。「最高裁判決によって、NHkは受信機を持つ人に対しては、司法の力に頼り過去にさかのぼって容易に微収できることとなった。外部企業の微収努力は軽くなっており、NHKは委託の意味や委託費の正当性を十二分に説明し、あり方も見直すべきだ。その上で、強制微収にふさわしい公共性の高い番組作りに専念すべきだろう」

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