6月8日 子ども食堂の今「上」

朝日新聞2018年6月4日21面:運営の裏側 つなぐ 支える 全国で急増し、いまや2千カ所以上になった「子ども食堂」。資金や人材、食材の調達、地域との連携ー。さまざまな課題に直面したとき、相談したり、自治体や企業などにつないでもらったりする「中間支援組織」が活躍し始めています。先進的な取り組みを2回にわたって紹介します。(山内深紗子、斎藤純江)
協力先との間に立つ組織が活躍 「参加者をスタッフに巻き込んでみては。焦らず、少しずつやれることを増やして」「ふくおか筑紫こども食堂ネットワーク」(福岡県大野城市)を運営するNPO法人の代表理事、大谷清美さん(51)は、相談にやってきた運営者にこんな助言をした。相談したのは、昨年5月から福岡県春日市で食堂を運営する自営業の讃井千恵さん(59)だ。調理で手いっぱいで、子どもたちと向き合えていないー。そんな悩みを抱えていた。讃井さんは公民館で月1回、子ども食堂を続けている。参加者は60人程度。スタッフは20人ほどだが、スタッフへの指示や調理に忙しく、余裕がない状況が続いていた。讃井さんは「行政につないでもらったり、困りごとを相談したりできるから続けていける」と話す。
「ネットワーク」は、2016年に地元のNPO法人「チャイルドケアセンター」が、子ども食堂への中間支援組織として立ち上げた。5市1町計31カ所の食堂が参加し、勉強会を開催。子どものSOSの見つけ方や運営上の悩みなどを共有したり、運営ノウハウを高めたりしている。食堂の運営支援のため、企業などから食材の寄付を募り、各食堂に渡す子ども食堂のための独自のフードバンクも作った。今では、ご飯とみそ汁、数品のおかずならフードバンクの食材で賄える。
食堂を開く時はスタッフと一緒に自治会長や学校にあいさつに行き、スタッフが足りない食堂には人も派遣する。「ネットワーク」に参加した食堂でやめたところはない。大谷さんは「将来は市町村に一つ、中核になる食堂が育ち、我々の支援を卒業していくのが理想です」と話す。こうした支援が手厚い組織は全国でも10~20ほどしかないとされる。
取り巻く課題 共に向き合う 子ども食堂がなかった滋賀県では、15年度からの3年間で95ヵ所に急増した。その立役者は、県社会福祉協議会が中心になって運営する「滋賀の縁創実践センター」だ。資金、衛生管理、広報、学校や自治体などとの連携、子どもへの関わり方について相談にのっている。
センターは子ども食堂の立ち上げ時に、3年間で最大計40万円を助成する。来年度から助成が切れる団体がでてくることから、県社協が新たに基金をつくった。企業や個人から3千万円の寄付が集まっており、今年度、県もこの基金に3千万円を出す。5㌔の米、野菜の直売所で使える5千円分の商品券、色鉛筆やノート‥。4月下旬、滋賀県甲賀市の福祉施設で、センターの職員が食堂の運営者に企業からの寄付を渡した。谷口郁美事務局次長は「地域のネットワーク、信用力、専従職員を配置できる資金力を生かせるメリットは大きい」と話す。
県がNPOとともに、中間支援を始める動きもある。岩手県は5月、県内初の食堂を開いたNOP法人「インクルいわて」(盛岡市)などと、約400万円の予算で食堂の開設や運営などを支援する「子どもの居場所ネットワークいわて」を設立した。相談窓口を設け、研修会の開催などを予定する。共同代表の山屋理恵さんは「子どもを取り巻く課題と向き合い、互いに支え合う仕組み作りをしていきたい」と話す。
スタッフ・資金集め 苦労浮き彫りに 農林水産省が2017年秋、民間団体や全国の社協に協力を得て、インターネットや郵送で子ども食堂の現状と課題を調査。274団体が回答した。8割が任意団体やNPO法人などによる運営で、スタッフの平均は、1回の開催にあたり約9人。常にスタッフが足りない食堂は13.9%、足りない回がある食堂は28.1%だった。運営費の確保について、7割が年間30万円未満と答え、助成制度を利用しているところは68.6%だった。過去1年で、運営に「持ち出し」をあてたと答えた団体は58%にのぼり、資金面で苦労する様子が浮き彫りになった。
また、活動目的として、9割近くの食堂が「生活困窮家庭の子どもの居場所作り」を意識していた。だが、参加対象をこうした子どもに絞っているのは7%ほどで、地域の交流拠点としての役割も担っている様子もうかがえる。子どもからの「SOS」などを見つけ、「他の支援機関につなげた経験がある」と回答したのは43.4%。内訳は行政55.5%、民生委員・児童委員27.7%、学校26.9%などだった。

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