6月8日 シッター先生共働きの味方

日本経済新聞2018年6月2日夕刊1面:子どもの習い事、食事・入浴まで 送迎お任せ、利用者宅が教室 放課後の学童クラブや保育園へ子どもを迎えにゆき、その子の自宅で音楽や絵画、語学などを教えるサービスが広がっている。講師はベビーシッター会社などに登録する専門人材。平日に習い事をさせたいけれど、教室への送迎ができずにあきらめていた共働き世帯に人気が出ているようだ。
「アヤカ先生! 今日はなにするの~?」。5月中旬、都内の小学3年生、渡辺陽菜さん(仮名)は、学童クラブに迎えにきたベビーシッター、清川綾香さん(33)に元気な声で聞いた。「色鉛筆で好きな絵を描いて手作りの額縁に飾ろうよ」とほほ笑んだ清川さんは公立中学の非常勤講師。2週に1回、午後4時半から陽菜さんの自宅で絵や工作を指導している。
3時間で7000円弱 帰宅すると陽菜さんは「この前ママと飲んだラテがすっごくかわいかったから」と「カフェラテアート」の絵に取りかかった。「ここは色を二重に塗ってごらん」などと清川さんに教えられながら、1時間半ほどで絵とカラフルなタイルで飾り付けた額縁、さらに花柄を染色した工作用エプロンを仕上げた。午後6時には用意してあった夕食を温めてもらって食べた。その後、お風呂に入れてもらっていた午後7時半ごろ、看護師として働く母親の景子さん(仮名、39)が延長保育に預けられていた3歳双子の妹たちを連れて帰ってきた。
陽菜さんから「絵を習ってみたい」と言われたとき、景子さんは頭を抱えてしまったという。「週末はバレーとピアノを習っていてスケジュールがいっぱいだし、平日にひとりで教室に通わせるのは心配だった」。そんな時、ベビーシッター仲介会社のキッズライン(東京・港)で清川さんを見つけた。料金は3時間で7000円弱と一般のベビーシッターとあまり変わらない。キッズラインの経沢香保子社長は「レッスン付きシッターはここ1~2年で利用者が増えた。平日の習い事をあきらめている共働き世帯は多い」と話す。
学習効果アップ 外資系企業の専門職、井田美穂子さん(41)は次女(5)に小さいうちから英語を習わせたかったが、大学教員の夫(44)が延長保育のお迎えにいけるのは午後7時過ぎだ。そこで2年前、代わりにお迎えをしてくれるセラン(東京・目黒)のレッスン付きシッターを契約。長女(10)も大手英会話教室から切り替えた。シッター研修を受けたバイリンガル講師の指導で、料金は週1回、2時間のコースで1人当たり付2万8800円と一般のシッターより高めだ。ただ井田さんは「リラックスできる自宅で一対一でレッスンしてもらえるほうが学習効果が上がる」と期待する。
同社のレッスン付きシッターはサービス開始から約3年で利用世帯が350に達した。樋口亜希社長は「当初予想を大きく上回っている」と話す。レッスン付きシッターの広がりは、専門スキルがありながらフルタイムの仕事に就いていない人にとって収入アップの選択肢になる。キッズラインでは専門人材の登録が500人を超えた。音楽家派遣会社エルパ(東京・港)の島貫歩美社長は「英語とピアノのレッスンが出来る人も少なくない」という。週末が子どもの習い事のスケジュールがいっぱいだった共稼ぎ世帯にとっては、家族で過ごす時間が増えるだけでなく、レッスンの内容や教わり方を選びやすくなりそうだ。
「パワーカップル」けん引役 ベビーシッター会社が提供する送迎の要らない習い事サービスは、共働き世帯が主な顧客になっている。教室に通う習い事に比べて費用がかかる場合が多いが、夫婦ともに高収入で子どもの教育に出費を惜しまない「パワーカップル」などがけん引役のようだ。
パワーカップルに明確な定義はないが、夫婦ともに年収700万円超として2016年の総務省「労働力調査」から推計すると約25万世帯。このうち15万世帯に未婚の子がいる。こうした子育て中のパワーカップルは13年に比べて約3万世帯増えた。自身も習い事をして育ってくた親は、子どもの希望をかなえてやりたい気持ちも強いだろう。パワーカップル世帯の消費動向に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「仕事で送迎ができないなら、送迎サービスを『購入』してでも、よりよい教育を受けさせたいと考える親が増えている」と分析する。(岡田真知子)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る