6月27日 海のプラスチックごみ憲章

東京新聞2018年6月22日4面:署名拒否は責任放棄だ カナダでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、日本政府が米国とともに、海のプラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」への署名を拒否した。今の政権に、悪化する地球環境への危機感が乏しいことは知っていたが、これほどとは思わなかった。海洋国家を自任する国として、また、レジ袋やペットボトルなどの使い捨てプラスチックを大量に消費する「プラスチック汚染大国」として、日本が国際社会に負っている責任の放棄にほかならない。欧州連合(EU)をはじめ多くの国が使い捨てプラスチックの削減や廃絶に向けた行動をとり始めている。日本も早急に削減への取り組みを進め、遅れを取り戻すべきだ。世界の海に流れ込むプラスチックごみの量は年間800万~1000万トンにもなるとされ、環境や生物多様性に深刻な影響を与えている。憲章の採択は、先進国としてこの問題に取り組む姿勢を示す重要なメッセージだ。
「プラスチック製品の規制は産業界や消費者への影響が大きく、日本はまだ準備が整っていない」というのが拒否の理由だそうだ。日本ではレジ袋や食品包装など使い捨てプラスチックの大量消費が続き、削減対策は遅れている。ごみを焼却しても、その際に出る熱を利用すればリサイクルの一手段と呼ぶことが法律で認められているため、大量のプラスチックが焼却されている。熱回収をしない単純償却を含めると、7割近くが燃やされている。2013年の経済協力開発機構(OECD)のデータでは、日本の一般ごみのリサイクル率は19%とされ、34カ国中27位だ。
安易な焼却がごみ削減の動機づけをなくし、大量のごみの排出を招いている。プラスチックは燃やせば二酸化炭素が出るため、「脱炭素社会」の実現を目標とする温暖化防止のパリ協定にも反する。もちろん、マイバッグやマイボトルの利用拡大など消費者の努力は必要だ。しかし最も実施が急がれるのは、プラスチックに重点を置いた現在の政策を根本から転換し、諸外国と同様に、課徴金や規制の導入によって消費量の削減に取り組むことだ。
使い捨てライフスタイルから多くの利益を得ている産業界の一部の抵抗はあるだろう。だが、既に世界の流れは決まっている。国際社会の対策が進む中、取り組みが遅れることは企業にとっての大きなリスクになるし、代替品開発などのビジネスチャンスも多い。今からでも遅くはない。安倍首相は憲章に署名し、日本も他の国とともに「脱使い捨てプラスチック」に向かうという政治的なシグナルを内外に発するべきだ。(共同通信編集委員 井田徹浩)

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