6月27日 オトナになった女子たちへ

朝日新聞2018年6月22日27面:憧れだった「ざる」 スーパーのレジ。あのバーコードのピッピッは、いつ頃から主流になったのだろう? 少なくとも、わたしが高校1年のときは、まだうちの近所はピッピッじゃなかった。スーパーでバイトしていたクラスメイトが、授業中レジの早打ちの特訓をしていたのを覚えているからである。ノートにレジの数字の配列を描き、熱心に指を動かしていたっけ・・。レジでの清算がバーコードになる、というニュースをみたときには、「未来がきた~」と思ったものだった。しかし、レジの未来はまだった。近頃、スーパーでは自分でお金を機械に入れて清算するシステムが多くなってきた。
レジに買い物かごを持っていく。ピッピッとバーコードを読み取ってもらうまでは同じ。以前は、このあとすぐにお金を渡して清算だったが、「1番の機械にお進みください」 今は、自ら機械でお会計。駅で切符を買うみたいに、画面の指示に従ってお金を入れる。初めてのときはまごついたものだが、慣れてくると、後ろに並んでいる人を気にせず、財布から小銭を取り出せるのは気楽である。
わたしが子供の頃は、レジどころか、スーパーそのものがなかった。買い物は市場。幼いわたしが憧れていたのは、八百屋さんの「お金のざる」。上からゴムみたいなものでつり下げられており、おつりのやりとりは、レジではなくざるだった。「はい、おつり」 お店の人が、ざるからおつりの小銭を出すのは、たいそう、かっこよかった。とはいえ、わたしは店でお金を払う行為が苦手だった。おつかいを頼まれて市場へ行く。財布からお金を出すとき、いつも、とても、恥ずかしかった。自分のお金じゃないのに、「おおきに!」と、お礼を言われるのが恥ずかしかったのだ。大人の常識より、子供の理由のほうが美しいこともある。今なら機械で清算だから、恥ずかしいと思わないのかもしれない。けれど、あのときの気持ちには、どこか好感が持てると振り返るのだった。(イラストレーター)

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