6月24日てんでんこ 自然エネ100%「9」空き家

朝日新聞2018年6月20日3面:送電線を見上げて思った。「空いている原発の送電線を使えるんじゃないか」 固定価格買い取り制度を利用したコミュニティーバスの支援、福島県が出資する発電会社による太陽光発電事業への参画・・。「2040年自然エネ100%」の目標に向けての様々な策を講じてきた県エネルギー課長(当時)の佐々木秀三(56)が、次に取り組んだは原発事故で「空き家」となった送電線の有効活用である。
県内の送電線の状況を調べてホームページで公開するなど、自然エネ拡大に向けて透明性の確保に努めていた。14年5月、東京電力福島第二原発の視察で大熊町を通過している時に送電線を見上げてふと思った。「空いている原発の送電線を使えるんじゃないか」東電の担当者に「つなげさせてほしい」という。ただ具体的な回答は得られずにいた。だが、悠長に構えていられない事態が起きた。
東北電力が同年9月末、「太陽光発電が増えすぎた」として、送電性への新たな自然エネの接続の保留を発表した。自然エネの発電量は30%にも満たないのに、送電を制限されたら「自然エネ100%」は泡と消える。県は急きょ、送電線問題を扱う系統連系専門部会を立ち上げる。同時に、国や電力会社への働きかけを強めた。
専門部会は、約1カ月間に4回の会合を開き、自然エネの接続に関する10ヵ条の「福島からの緊急提言」をまとめる。提言は、原発事故で空いた送電線への自然エネの受け入れを求めた。ほかにも、実際に発電しないまま太陽光発電の買い取りの認定だけ受ける「空押さえ」の禁止、使用状況に応じた広域的な送電線の運用など、先駆的な内容だった。当時の東電社長、広瀬直己(65)は15年1月、「復興の責任を果たしていく」として、原発の送電線を自然エネに解放し、受け入れに必要な新福島変電所の改修を表明した。東北電は南相馬変電所に太陽光発電の電気をためる大容量の蓄電池の導入を、国は福島の自然エネ拡大のための財政支援を約束した。
佐々木は「原発の送電線が再利用できることになったことで、多くの人が送電線に関心をもつようになった」と振り返る。いま相双地方振興局長の佐々木の実家は、南相馬市小高区にある旧家だ。2年前に避難指示は解除されたが、家族はまだ戻っておらず、空き家のままになっている。(石井徹)

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