6月19日てんでんこ 自然エネ100%「6」独立

朝日新聞2018年6月15日3面:飯館村で進む太陽光発電。破壊された地域社会の立て直しにどう生かすか。 5月の終わりの日曜日。福島県飯館村の田んぼに集まった約50人を前に、菅野宗夫(67)があいさつした。「今年もみんなで一緒に、生産する喜び、苦労を味わいたい」 東日本大震災翌年の2012年以来続けている田植えに大学研究者や留学生らが、全国から応援にかけつけた。若い人も少なくない。菅野とボランティア研究者らが震災直後に立ち上げた「ふくしま再生の会」の試験栽培だ。収穫した米は売らないが、14年産からは公的機関の検査を経て、試食もしている。田んぼ近くで再建中の菅野の自宅は、東北電力からの電気を断ち、屋根などに設置した太陽光発電で自らの消費分をまかなう「独立電源」(オフグリッド)の工事が進む。「原発の再稼働が続く中で、自分ができること、地産地消をやるしかない」
蓄電池が高額なので、今年9月の完成時点ではまず照明だけを「独立」させる。冷蔵庫や野菜ハウスの暖房、棟を並べる「再生の会」の事務所へ少しずつ広げていく計画だ。田植えの列に、リンジー・モリソン(32)もいた。米国から来日して12年。東京の武蔵野大学で日本文化を教えている。
飯舘村に来たは3回目だ。大半の避難所解除から1年たった村は「空気が明るくなった」と感じる一方、「この村のために、研究者として何ができるのか」。自問が続く。菅野が進めるオフグリッドの試みについては「原発に頼り過ぎたこれまでの生活への反抗だ」と思う。今後、国際学会や担当する授業の中で飯舘の現状を伝えたい、と考えている。 「再生の会」理事長の田尾陽一(77)は週末ごとに東京から通っているが、避難解除された昨年4月に住民票を飯舘村に移した。無精ひげの元物理学研究者は、菅野の自宅近くの佐須地区に自宅を建築している。
田尾と菅野は、自然エネ発電を進める飯舘電力の役員だ。地区につくった太陽光発電施設を、破壊された地域社会の立て直しにどう生かすか、知恵を絞る。「オフグリッドの次はコミュニティー電力だ」。田尾は言う。
「村に戻る人、戻らない人、戻れない人。村民以外の人。支援でなく対等に協働して、暮らしを再建したい」。菅野は思っている。福島の自然エネの動きは飯舘電力にとどまらない。引き続き底流を追う。(菅沼栄一郎)

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