6月16日てんでんこ 自然エネ100%「4」百姓

朝日新聞2018年6月12日3面:原発事故で有機農業を断念。苦しみを癒すにはエネルギーの転換しかない。 飯舘電力(福島県飯舘村)で昨年末、近藤恵(38)は千葉訓道(65)から専務を引き継いだ。福島第一原発の事故が起きるまで、近藤は福島二本松市で有機農業をしていた。東京都出身。農業とは無縁だったが、山形県の山深い高校で寮生活を送り、自然との共生の必要を感じて筑波大で農林業を学んだ。卒業後は、百姓として生きる道を選んだ。
千葉県や福島市で就農するが、収入は上がらず、住民トラブルにも巻き込まれて農業を断念する。子供2人を抱えた24歳の時だ。だが2年後、二本松有機農業研究会の大内信一(77)から誘われた。「離島で空いた農地があるので、もう一度やってみないか」2006年、二本松で再び農業に挑戦する。農薬や化学肥料をほとんど使わずに米や大豆、野菜を育てる有機栽培。11年3月に原発事故が起きたときには、産地直送の客も増え、「ちたた(知足楽)」と名付けた3㌶の農園が軌道に乗り始めたばかりだった。東京の実家に避難したが、4月には二本松に戻って米の発送や種まきをした。応援してくれる客もいた。だが複雑な心境だった。
9月には市内の米から基準値を超える放射性セシウムが検出された。収穫が終わった12月、2度目の廃業を決断する。借りていた農地を返し、農協職員として働き始めた。近藤の関心は自然エネルギーへと向かう。農家は米もみそもつくれるし、井戸には水もある。だが、エネルギーを頼り切っていたおかげで、こんな目に遭ってしまった。「農家こそエネルギーをつくらないとダメだ」。百姓が抱えた苦しみを癒すには、エネルギーの転換しかないと思った。
二本松有機農業研究会にエネルギー部会をつくり、自然エネの先進地を視察した。千葉がかかわった福島土湯温泉の温泉バイナリー発電もあった。近藤は農業系ごみを燃やすバイオマス発電を目指した。だが、事業化のめどが立たない。農協の仕事にも限界を感じていた。研究会は15年3月、飯舘電力を立ち上げたばかりの千葉を講演に招く。近藤は意を決して頼んだ。「私を雇ってもらえませんか」こうして近藤は飯舘電力に入る。(石井徹)
てんでんこ 互いにちゃんと非難する。そこから相互信頼の醸成も新たな意味に。

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