6月14日 サザエさんをさがして

朝日新聞2018年6月9日be3面:奨学金 進学をあきらめないで 舞台は社員旅行の旅館だろうか、波平が夢で若い頃の試験にうなされる。隣の男性は「きっとおかえしします」と寝ぼけながら土下座する。奨学金の返済を迫られる夢を見たようだ。漫画が載ったのは1963年3月。奨学金の記事を探すと、2月26日付の朝日新聞朝刊に「借りっぱなしに断」の見出しが。その前日、衆院決算委員会で奨学金の返済問題について質問が出た。旧文部省の学生課長(当時)が「115万人が奨学金の恩恵を受け総額495億円が貸与されたが、そのうち74億円が返還の対象になっているのに、返済率は55%」と答弁したという。
日本の公的な奨学金制度は1943年に始まった。奨学金には返さなくていい「給付型」と、返済が必要な「貸与型」がある。日本学生支援機構(旧日本育英会)は、74年間で延べ1246万人に18兆円を貸与してきた。今は回収が強化され、2016年度末の3ヵ月以上の延滞は4%程度だ。機構は、借りすぎを防ぐために貸与月額の選択肢を増やしたほか、返還期限の猶予や返還免除などの制度を拡充させてきたといい、「困ったら早めに相談」と呼びかける。昨年度から給付型が導入され、今年度以降は年2万人規模になるという。この漫画を見て「近未来に起こる問題を予告しているのでは」と語るのは、奨学金問題対策全国会議の事務局長、岩重佳治弁護士(59)。波平は54歳の設定で、隣の男性も同世代に見える。奨学金に関する相談は30~50代が多く、失業や収入減などで返済に困るうちに延滞金が膨らみ、返しても元金が減らない人や、子どもや親戚の保証人になって返済を求められる人もいるという。岩重さんは「救済制度をもっと充実させるべきだ」と指摘する。文部科学省に当時と今のデータを聞くと、大学進学率は12%から53%に。驚くのは学費の高騰だ。16年度の私立大の初年度納付金は平均約132万円。「国立大は安いだろう」と思うなかれ。国立大でも初年度だけで約82万円(標準額)かかる。物価水準が違うので単純比較はできないが、63年度の国立大の授業料は年1万2千円、入学金1500円だったという。機構の「学生生活調査」(16年度)によると、昼間部の大学生の年間収入額は約197万円。内訳は仕送りが60%、奨学金が20%、アルバイトが18%、10年前と比べると仕送りの割合が減り、奨学金とアルバイトに頼る割合が増える傾向が見て取れる。また、84%がアルバイトに励み、49%が何らかの奨学金を得ていたという。
ファイナンシャルプランナーの新美昌也さ(56)は04年から、各地の高校などで「進学マネー講演会」を開き、教育費の支援策を伝える活動を続ける。自身も奨学金とアルバイトで大学に通った。講演では、学費の仕組みや、教育ローンと奨学金の違いなどを一つずつ説明する。返済の見通しを考えてもらうために、大卒の初任給や就きたい仕事の賃金水準を調べることも勧める。給付型の奨学金かある大学や奨学金の返済を肩代わりする企業、自治体独自の支援制度もある。ひとり親家庭や生活保護世帯、児童養護施設の子らを対象にした支援策も出てきた。教育は人生の可能性を広げてくれるはず。新美さんはこう呼びかける。「お金のことで進学をあきらめないで」(見市紀世子)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る