6月12日てんでんこ 自然エネ100%「1」飯舘牛

朝日新聞2018年6月7日3面:村は復興のもう一つの糸口として、自分たちのエネルギーを模索し始めた。 放牧された牛がのんびりと草を食べている。何でもない風景だが、福島県飯舘村の放牧地では8年ぶりのことだ。3ヶ月後に血中の放射性物質濃度を調べる。1年ほど前に大半で避難指示が解除された村で、「飯舘牛」の復活に向けた取り組みが始まっている。佐藤一郎(57)は5月初め、高台にできた真新しい牛舎に、避難先の相馬市から繁殖用の約50頭を運び込んだ。「牛の村だからね。村の復興には欠かせないよ」 冷害をもたらす冷たい風「やませ」に苦しむ農家が一丸となってブランドに育てた。2011年3月に東京電力福島第一原発の事故が起きるまで、約240軒が乳牛を含めて約2800頭を飼っていた。戻ってきた牛農家はまだ6軒、牛は100頭ほどだ。
村は、もうひとつの復興の要として、自然エネルギー(再生可能エネルギー)にも力を入れる。今年4月下旬、村西部の山林に風車2基を建設する「いいたてまでいな再エネクロス発電所」の起工式があった。村議でもある佐藤も出席した。「こういう目に遭ったから、エネルギーは自分たちでという思いは、みんなが持っている」と言う。「まいで」は「心をこめて」という意味の方言だ。すでにある1万㌔ワットの太陽光に6400㌔ワットの風力を合わせ、村の消費電力を超える年2700万㌔ワット時の発電量を見込む。事業会社には村が45%出資し、昨年度の配当は約3800万円だった。村は、道の駅の隣にある1500㌔ワットの太陽光発電所にも7割以上出資している。村内では、50㌔ワット未満の小規模な太陽光発電も目につく。全住民が避難した県内9町村では初めての市民発電「飯館電力」が建てている。14年9月には村民有志が設立し、翌年2月に第1号が稼働した。3年余で35カ所、約1500㌔ワットにまで増えた。社長の小林稔(65)は原発事故で一家散り散りに。だが、昨年6月に村に戻り、今春、再び牛を飼い始めた。(奥村輝、石井徹) =文中は敬称を略します
◇ 原発事故を契機に12年、福島県は40年に県内で使うエネルギーの100%相当を自然エネルギーで生み出す方針を打ち出しました。取り組みはどこまで進み、達成するにはどんな課題があるのか。人と地域の変化をたどります。

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