6月11日てんでんこ 被災ここにも「21」巨大地震

朝日新聞2018年6月6日3面:発生が懸念される南海トラフ地震。様々な被害に目配りしていくには。 5月25日午後9時13分、長野県栄村で震度5強を観測する地震が起きた。直下から突き上げ、たたきつけられるような揺れ。7年前の地震の記憶が住民の頭をよぎった。物が散乱、窓ガラスが割れ、壁にひびが入る被害が出た。村役場は情報収集に追われ、公民館に自主避難した住民もいた。「暗いなか起きた地震に、7年前の震災を思い出す」と当時の村長だった島田茂樹(77)はいう。2011年3月12日に栄村で震度6強を記録した地震は、前日の東日本大震災の巨大地震に誘発されて起きたとみられている。直接の死者は出なかったが、避難生活のストレスなどで3人が被害関連死と認定された。余波は今も続く。
仮設住宅は地震2年後に解消し、村の震災復興計画の「復興期」も16年度で終わった。ただ、2330人いた人口は2千人を割り、耕作が放棄された場所もある。先月の地震でも、田にひびが入り水が抜ける被害が出た。過疎や高齢化が進む中山間地が被災すれば衰退は加速する。被災した農地を各地で調査し、栄村の復興計画に携わった木村和弘・信州大学名誉教授(72)は「住居だけでなく、農地や施設の総合的な復旧が重要」という。
集落で暮らし続けることができなくなれば、土地を離れる人も出る。休耕と復旧工事に速やかに合意し、米のブランド化につなげた栄村の小滝集落は「震災をバネにむしろ発展している例」と評価する。内陸での地震が続くなか、各地に通じる教訓でもある。東日本大震災では広範囲が被災し、原発事故も加わった。この連載で紹介した栄村の地震も千葉県旭市の津波も、単独ならもっと注目された被害だった。ほかにも液状化、土砂災害、ダム決壊など様々な被害が埋もれ、「忘れられた被災地」とも呼ばれた。
いま、南海トラフ地震が懸念されている。震源域は東海地方から九州沖まで700㌔に及び、隠れた被害も生じる恐れがある。「報道などで注目された場所ばかりに支援が偏る可能性がある」と田中淳・東京大学総合防災情報研究センター長(64)は指摘する。次の震災が起きた時、私たちはどれだけ目配りができるだろうか。(鶴信吾、佐々木英輔) 「被災ここにも」は終わります。次は第28シリーズ「自然エネルギー100%」を始めます。

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