6日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2017年8月4日33面:今は、わたしが聞き手 「お昼、なに食べたい?」と聞いたら、串揚げがいいと母は言う。というわけで、母とふたり、デパートのレストラン街へ串揚げを食べに出かけた。帰省中の話である。カウンター席に案内される。ランチは3コース。単純に串の数で値段が違う。私は9本、千百円。アツアツの串揚げを頬張りつつ、母の話しにふんふんと相づちを打つ。足腰を鍛えるぞうきんがけの方法を試したらひざが痛くなってしまったことや、月曜日はスーパーが全品1割引きになることなど。
その間、隣でお茶のおかわりやソースのつぎ足しの世話もやくという、とっても気が効く娘(わたし)である。大人になり、そこそこの時間も流れ、親との会話の量が逆転していることにはたと気づく。わたしの話を聞いてくれるのが当たり前だった母。今は、わたしが聞き手。相談されることも多くなった。
さてさて、これはどうしたものか、と思った母の言いまちがい。母は「水玉模様」のことを「水たまり模様」と言っていた。
水玉とみずたまり。 ま、そう遠くもないか。水たまりだって、たくさんあれば水玉に見えなくないのだし。聞き流すことに。そういうわたしも、つい最近まで「しっちゃかめちゃか」を「すっちゃかめっちゃか」と思い込んでいたのだった。先日、別のエッセーに「すっちゃかめっちゃか」と書き、編集者からの赤字が入ってようやく気がついた。串揚げを食べた後は、ぶらぶらショッピング。母がユニクロで半袖の服を買いたいと言うので店内を見てまわった。
明るい服がいいよと、花柄のTシャツを母にすすめる。試着をしたらよく似合い、値段を見ると千円ちょっと。「色違いも買っとけば?わたし買うよ」
と言ったら、母は「いい、いい、もったいない、もったいない」。1着しかカゴに入れなかった。母よ、許せ。わたし、この夏、東京で2千円もする桃のパフェをペロリと食べてしまったよ・・・。(イラストレーター)

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