5月6日 薬使わず抗菌 セミの羽がカギ

朝日新聞2019年5月4日3面:関西大チーム研究 超微細なトゲトゲが活躍 トイレの便座やエスカレーターの手すり、汗臭くならない服・・。抗菌加工製品があふれる中、セミの羽をまねて「抗菌」する仕組みの研究が始まっている。抗菌加工製品には、細菌の増殖を抑える抗菌剤が練り込まれているが、使い過ぎると薬が効かない耐性菌が生まれかねない。薬剤を使わずセミの羽の構造によって抗菌できれば、環境に影響が少ない新しい加工法になると注目されている。研究しているのは関西大学の伊藤健教授のチーム。クマゼミの羽の透明の部分の構造に着目している。セミの羽の部分には、健康サンダルにおように無数の微細な突起が、規則正しく並んでいる。この上に、緑膿菌という細菌をたらすと死滅する、ということをオーストラリアのチームが発見していた。ただ、それが本当に「構造」によるものなのか、判然としていなかった。伊藤さんたちは、この構造と同じ形のナノレベルの微細構造(ナノ構造、ナノは10億分の1)を、シリコン基板を使って作ることに成功した。髪の毛の千分の1ほどの太さの突起を、基盤の上に、大腸菌を含む液をたらして培養し、菌数の変化を調べた。その結果、生きた菌の数が減っていくことが分ったという。最大で菌数を10万分の1まで減らせた。伊藤さんによると、「大腸菌がナノ構造の上で動き回ろうとするうちに細胞の膜が傷つて穴があき、体液が漏れ出して死んでいるのではないか」という。近年、指摘されているのが「薬剤をできるだけ使わない抗菌加工」の必要性だ。微生物の制卸に詳しい神奈川工科大の澤井淳教授は「医薬品の世界で、抗生物質の使い過ぎから薬剤耐性菌が生まれてしまうと問題になっているのと同じようなことが、抗菌加工の世界でも懸念されています」と話す。「抗菌フィルム」をはったスマートフォーンの表面に付着している細菌を澤井さんが調べたところ、大腸菌などの一般的な細菌が少ない半面、普通の抗菌剤が効かない芽胞形成菌の仲間には、ブツリヌス菌やウェルシュ菌などのように食中毒の原因になるものもある。薬用せっけに含まれる抗菌剤に耐性をもつ細菌が、環境中に確認されているという報告もある。澤井さんは「抗菌加工も、技術にまだ問題はあるが、材質全体に抗菌剤を練り込む形から、表面だけを加工するものへ変っていかないといけない」と訴える。(鈴木彩子)

 

 

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