5月6日 変革苦しむ車関連産業

朝日新聞2019年5月4日4面:日本の「ものづくり」の象徴ともいえる自動車産業。それを支えるのは、様々な部品や製品をつくる数多くのメーカーだ。しかし最近、自動車部品メーカーや関連産業の苦境が相次いで伝えられている。背景を探ると、業界を揺るがす構造変化が見えてくる。(友田雄大、高橋諒子)
ブレーキ専業に迫る巨大企業 「akebono(アケボノ)」ブランドで知られ、自動車レースの最高峰・F1でも使われるブレーキ部品大手の曙ブレーキ工業(本社・埼玉県羽生市)。業界でも知られたメーカーが1月29日に突然、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請した。有利子負債は1千億円超。その元本返済の一時猶予を取引銀行に求めるという。年間売上高が2600億円超の大手の経営不安に、業界は驚いた。戦前に創業し、自動車大手の系列に属さない独立系。2018年3月期の売上高の内訳は、米ゼネラル・モーターズ(GM)向けが3割と最も多い。トヨタ自動車や日産自動車など内外の大手と取引し、「日本の部品メーカーの理想型」(関係者)と評された。しかし、最も多いGM向けの取引でつまずいた。曙は08年のリーマン・ショック後、主力市場の米国で、自動車各社の需要回復に応えて生産を増やした。しかし休日稼働などで採算が悪化。そうした中で、GM向けの大口受注を逃した。年1億㌦(約110億円)の減収要因となり、数年にわたりさらに減収になるとみられる。今後は再建を後押ししてくれるスポンサー探しが急務だ。筆頭株主のトヨタへの期待もあるが、トヨタは慎重姿勢だ。曙は実績ある名門だが、今の自動車業界はそれだけでは生き残れなくなりつつある。自動車は電動化や安全性能の向上でハイテク化が進み、部品メーカーも高度な開発力が求められる。世界では合併を繰り返し巨大化した「メガサプライヤー」が存在感を増す。曙が生産するブレーキでは、メガサプライヤーの独コンチネンタルやボッシュが高シェアを握る。両社はブレーキだけでなく電装品など様々な部品を手がける。曙のようなブレーキ専業メーカーは今後競争力で厳しくなる可能性がある。曙は3月、スポンサー探しのための入札を始めた。米投資ファンドのベインキャピタルなど国内外の数社が手をあげている。再建計画を確定させるのは9月ごろになる見込み。それまでの資金繰りは、投資抑制や銀行からの支援などでつなぐという。
カーナビ平均単価10年で半分 多くの車に搭載されるカーナビゲーションシステム。しかし近年カーナビメーカー各社の経営は悪化。単独で生き残りを断念する動きが相次いでいる。1月、カーナビ大手アルパインと、同社の筆頭株主のアルプス電気が経営統合し、「アルプスアルパイン」が発足した。アルパイン株の4割超を握っていたアルプス電気が完全子会社化した。「イクリプス」のカーナビで知られる富士通テンは17年にデンソーの傘下に入り、「デンソーテン」となった。日立製作所の子会社だったクラリオンは3月、仏自動車部品大手フォルシアに買収された。「カロッツェリア」で知られるパイオニアは3月、香港系投資ファンドの完全子会社となった。約1020億円の資金支援を得て再建をめざす。電子情報技術産業協会の統計では、カーナビの年間出荷台数は08年の448万台に対し、18年は614万台に増えた。だが市場構造は大きく変わった。最近は簡易型ナビや、スマートフォンをナビ代わりにする人も増えた。カー用品大手・オートバックスセブンの調べでは、現在のカーナビの平均単価は8万円程度。この10年でほぼ半分に下がった。自動運転時代に向け、カーナビはさらに進化しそうだ。運転席回りの様々な機能の刷新も伴うとみられ、そうした開発の主役はメガサプライヤーだ。メガサプライヤーの売上高は数兆円規模なのに対し、カーナビ各社の売り上げ規模は1千億~3千億円台にとどまる。各社が単独で生き残りをあきらめたのは、「じり貧」の業界から一歩抜け出す足がかりと、次世代技術の開発ノウハウを求めたためでもある。カルソニック世界第7位に 伊の部品大手買収完了 欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は2日、子会社の伊自動車部品大手マニエッティ・マレリを、自動車部品大手カルソニックカンセイ(さいたま市)の持ち株会社へ売却する手続きが完了したと発表した。カルソニックによると、2社の売上高合計は約146億ユーロ(約1兆8250億円、一部事業を除く)で、独立系の自動車部品会社で世界7位となる。買収額は58億ユーロ(約7250億円)。

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