5月4日 進む「現金なし」■海外では高額紙幣廃止

朝日新聞2019年5月3日4面:刷新これで最後? 渋沢栄一は1万円札の最後の顔になるかもしれない・・。2024年のお札のデザイン一新を巡り、金融関係者の間にはそんな声がある。100兆円近くが流通し、紙幣の王様の1万円札。その未来を左右するのは、キャッシュレス化と世界的な高額紙幣廃止の動きだ。6日までの10連休中、クレジットカード会社や電子マネー事業者が「キャッシュレス・ウィーク」を展開している。ポイント還元増やすなど、便利でお得な買い物を訴えるねらいだ。JR東日本のSUICA(スイカ)の発行は7千万枚超。ナナコやワオンなど流通系電子マネーは小売店での利用が広がる。スマートフォンで手軽に買い物できるQRコード決済対応の店も増えた。「現金なし」の動きが加速する。最終消費のうち、現金を使わない決済比率は2017年に約2割。政府目標は25年に4割以上だ。キャッシュレスは便利だけでなく、お金の使われ方をデータとして生かす新たな商機も生む。国策として進めて9割超になった韓国、7割近い英国や中国と比べて、日本は大きく下回る。政府が危機感を強める一因だ。野村総合研究所の木登英氏は「キャッシュレスの普及が今後進んでいけば、次回の紙幣刷新時には1万円札廃止の可能性があると思う」と指摘する。日本の国内総生産(GDP)に占める現金の流通高は20%で、8%の米国や6%の韓国より高い。現金の中で特に多いのが1万円札。出回る現金の9割超(金額ベース)を占める。日本銀行が金融緩和でお金を大量に流しているこもあり、1万円札の流通高は18年末に初めて100兆円を超えた。その使われ方には変化もみられる。国立印刷局が今年度に刷る予定の1万円札は10億枚で、04年度以降で最も少ない。新しいお札の印刷枚数が少ないのは、傷みが目立つの使用が減ったことを意味する。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「キャッシュレス決済やネット通販の利用増が、新札の印刷減少につながっているのでは」とみる。超低金利でタンス預金が増えた、との見方もある。SMBC日興証券の推計によると、1~3月時点でのタンス預金は1万円札の流通高の半分の52.8兆円。流通量の多さほどには使われていない可能性がある。
 現金引き出し新たな試みも 世界で高額紙幣廃止の動きが広がる。現金は脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)などに使われやすく、不正を防ぐためだ。欧州中央銀行(ECB)は16年、500ユーロ紙幣(今の為替レートで約6万2500円)の廃止を決めた。14年位は、1万シンガポール㌦紙幣(同約82万円)の発行が停止されている。日本でも、国会で議員が世界の高額紙幣廃止の動きに触れ、検討を求めたことがあった。ただ、政府が今回お札を新しくすることを決めたのに際し、「(1万円札廃止が)本格的に議論されたことは聞いていない」(日銀関係者)という。日本は偽造が少なく、各所のコンビニにATMがあるなど、お金を引き出しやすい。もっと便利にする取り組みも動き出している。東京急行電鉄は8日からゆうちょ銀行や横浜銀行と協力し、駅の券売機をATM代わりにお金を引き出せるサービスを始める。両行の口座を持つ人はスマホの決済アプリで金額を入力し、券売機の読み取り装置に画面をかざせばお札が出てくる。引き出せるのは1万円札1~3枚のみだが、駅でおろせるのは便利だ。「キャッシュレスがどれだけ進んでも、現金はなくならない。便利な場所で現金を引き出せるようにある意義は今後もある」と横浜銀行の担当者。現金と現金なしの便利さの競い合いは、しばらく続きそうだ。(湯地正裕、榊原謙)

 

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る