5月3日 ガンダム40年アムロ・レイは時代を越えて

朝日新聞2019年5月1日33面:「聖地」ファン次々 ロボットアニメに革命を起こした「ガンダム」シリーズが40年を迎えた。約60作品に及び、テレビ初登場の作品がNHKで4月から放映中だ。なぜ人気が続くのか。青森県おいら町にファンが訪れる聖地があると聞き、東北新幹線で八戸駅へ向かった。駅から車で30分。ガンダム、シャア専用ザク、ドム・・。アニメに登場する「モビルスーツ」と呼ばれるロボットたちが10体ほど理容店の庭に立っていた。高さ3~5㍍ほど。塗装もされ、精巧な造りだ。作ったのは理容店経営の鈴木敏美さん(74)。手先が器用で石膏像造りなどが趣味だったが、還暦の頃、高校生に「ガンダムを作ったら」と提案されたのがきっかけだった。プラモデルの部品を参考に設計図を書いた。鉄骨やコンクリートのほか発泡スチロールを使って軽量化とコスト削減にも成功。次々と立像ができあがった。40~50代男性を中心に全国からファンが訪れる。取材時も出張のついでという会社員(46)が「懐かしいですね」と見つめていた。
売り上げ年780億円 第1作「機動戦士ガンダム」(富野由悠李総監督)は1979年4月~80年1月に全国で放送。視聴率は1ケタ台(関東地区、ビデオリサーチの数値を集計)とふるわなかった。だが、プラモデルの発売、テレビ版を再編集した映画の上映などで人気に火が付いた。テレビでも81年の再放送では視聴率が12%を超えた(同)。任期の理由はいくつかある。ロボットアニメにありがちだった勧善懲悪を排し、少年アムロ・レイが戦闘員にならざるをえなかった理不尽さや彼の成長を描いた。適役シャア・アズナブルは影のある二枚目で第2の主役に。アムロやシャアが乗るモビルスーツは洗練されたデザインで宇宙を自在に飛ぶ未来の兵器の真実味があった。シリーズはその後も主人公を変えながら新作が次々生まれ、約60作に上る。4月末からは、数奇な運命を生きる幼年期のシャアを描いた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星」がNHKで放映されている。シリーズを製作するサンライズ(本社・東京)の小杉尚弘執行役員は「第1作世代の子ども世代や女性など新たなファンを獲得してきた。海外でも人気が広がりつつある」と語る。サンライズを含むバンダイナムコグループの2018年度の「ガンダム」関連の売り上げは780億円に上る。
 「成長続ける古典」 ポップカルチャーに詳しい明治大大学院の氷川竜介特任教授は「20世紀アニメ文化の頂点というべき第1作以来、ユーモラスな作品など多様化してきた。生きることの希望や苦悩など普遍的な主題に迫る物語が作品ごとにあり、まさに成長を続ける古典」と話す。ちなみに著作権法を厳密に解釈すると、「他人の目に触れる場所に立像を作るのはグレー」(秋山卓也・大阪大准教授)だが、サンライズ側はファンの作品を黙認してきた。そうした姿勢も人気の拡大につながっているようだ。サンライズなどは09年に18㍍の「実物大」ガンダムを発表したが、20年には「実物大」ガンダムを横浜・山下ふ頭に登場させて、動かすというプロジェクトも進めている。作品が描いた虚構に科学技術が追いつくのか。夢は続く。(赤田康和)

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