5月28日てんでんこ 被災ここにも「11」

朝日新聞2018年5月22日3面:「明日は我が身と思うように」。東北の被害を受け、消防団長は呼びかけた。 「3.12」の文字が、薄闇の雪像の上に浮かび上がった。長野県北部の栄村で今年3月12日にあった「灯明祭」。村役場近くの駅前に約250人が集まり、機関車をかたどった高さ8㍍の雪像に子どもたちがろうそくを並べて文字を光らせた。「7年前のこの日、村は震災で多大な被害を被りました」「祭りはマイナスをプラスへ、過去から未来へつなぐためものです」。復興を祈って村歌を合唱した。村は東日本大震災が起きた翌日、震度6強の揺れに襲われた。新潟県と群馬県に接する山あいで、積雪が例年2㍍を超す豪雪地帯。駅には過去に記録した7.85㍍の高さを示す標柱が立つ。あの日も、雪に覆われていた。
2011年3月11日、栄村で観測された揺れは震度3だった。東北・三陸沖とされた震源からは500㌔離れた地。ゆらゆらと長く揺れが続いたが、被害はなかった。夜になり、村の消防団の幹部会議が村役場の会議室で開かれた。正副団長や村役場の担当者ら8人が集まった。「明日は我が身と思うように」。消防団長だった保坂良徳(62)はこう呼びかけた。テレビが映し出す津波が東北の街をのみ込む様子に、「えらいことになった」と衝撃を受けていた。本来は次年度の行事などを話し合うために召集した会議だったが、地震発生を受けて震災対策も話題にあがった。
村はこのとき、災害備蓄品を購入したばかりだった。食料、簡易トイレ、洗浄器、毛布などがすでに届き、避難所に順次配備していくことを確認した。1時間半ほどで会議は終わり、保坂は午後11時ごろ床についた。栄村では、深夜に激しく雪が降ることがある。状況を確認するため、午前3時に起きるのが保坂の日課だった。屋根に雪が積もっていれば雪下ろしをする。幸い、降雪はほとんどなく、安心して布団に戻った。
まどろみかけたころ、地鳴りのような音が響き、再び目を開けた。「やべえな」。そう思った次の瞬間、激しい揺れに襲われた。3月12日午前3時59分。栄村のほぼ真下を震源に、マグニチュード6.7の地震が発生した。(鶴信吾)

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