5月26日 新聞を読んで 森健

東京新聞2018年5月20日5面:うそは社会を腐らせる これで国民のモラルが崩れないとしたら、そのほうが奇跡かもしれない。この1ヵ月、東京新聞が大きく取り上げてきた記事の多くは、うそや暴言がテーマだった。残念なことだが、幸いだったのはそれらの記事で東京新聞独自の取材、視点が多く展開されたことだ。2015年4月、加計学園の獣医学部開設を巡り、愛媛県、今治市、学園の幹部の一行が首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会していた件。4月21日は「文科・農水の出向者同席」(1面)として、柳瀬氏との面会に、報道されていた担当者以外に文科、農水の出向職員も同席していたと報じた。
同23日社会面では、柳瀬氏らによる国家戦略特区活用の助言について、ほかの自治体に同様のことがあったのかを確認。熊本県、神奈川県鎌倉市、埼玉県所沢市の各自治体の担当者はいずれも助言などなかったと証言した。両院予算委員会で行われた柳瀬氏の参考人招致の前日の5月9日には、「誰がどんな理由で面会を設定したのか」との面会の経緯に関わる鋭い指摘を1面に掲げた。そして柳瀬氏の参考人招致が行われた10日夕刊では「加計に官邸で3回面会」、翌11日は「際立つ加計優遇」とポイントがわかる大見出しを掲げた。他紙と比べて踏み込んだ見出しで、東京新聞の姿勢が伝わる紙面だった。
笑ったのは11日の特報面「記憶術」の記事だ。1976年のロッキード事件の証人喚問で連発した小佐野賢治氏を引き合いに「どうも、国会に出る関係者は、大事な記憶が時々、無くなるようだ」と疑義を提示。医師や学者に記憶に関する知見を問うた。結論は「記憶を入念に残すしかない」だったが、皮肉にもその日の夕刊で、森友学園への国有地の売却に関わる面談や交渉の記録が数百㌻存在していたと報じられた(1面)。
もうひとつ東京新聞が旗幟鮮明にしていたのが、麻生太郎財務相の発言や姿勢だ。セクハラ発言で福田淳一前次官が辞任しても、麻生氏は「セクハラ罪という罪はない」「(女性記者に)はめられた」と暴言を吐いていた。異常な発言の問題を繰り返し1面で扱ったのは東京新聞だけだった。8日は抗議デモが起きたことや識者が法整備の必要性を論じたことを社会面で紹介し、社説でも「あなたもアウトです」と断罪した。これほど下品な人物が国の中枢にいることを、恥じている人は少なくないだろう。「うそは人を巻き込む」と柳瀬氏を批判したのは、中村時広・愛媛県知事だった。それどころか、うそや暴言は人や社会を腐らせる。自覚のない政府に延々と付き合わざるを得ないのが、日本の報道の不幸だろう。(ジャーナリスト) *この批評は最終版を基にしています。

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