5月20日「かぼちゃの馬車」オーナー多くは会社員

東京新聞2018年5月13日27面:1.4億円ローン「厳しい」 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーになれば、家賃収入を30年間保証する。そんなうたい文句で事業を拡大した運営会社「スマートデイズ」(東京)が4月に経営破綻した。シェアハウスを建てたオーナーの多くは会社員。融資基準となる給与所得や預金残高が勝手に水増しされていた。1億円を超えるローンの返済の見通しが立たず、途方に暮れる人が相次ぐ。(福岡範行)
融資資料改ざん「詐欺では」 「かなり厳しいです」。4月に完成したばかりの東京都板橋区のシェアハウスで、男性会社員(49)は、ため息をついた。ローンは土地建物代の計1億4千万円で、返済額は月67万円。他に自宅のローン返済も月約20万円ある。給与の手取りは約50万円。このままだと家計が破綻する。シェアハウスは全15室。スマートデイズが一括管理し、入居者の有無にかかわらず、男性に月88万円の家賃保証する約束だった。しかし、同社は建物完成前に破綻。結局、男性は1円も受け取っていない。
かぼちゃの馬車を知ったのは、昨年2月。不動産業者からの売り込みで、最初は怪しいと感じた。だが、人気タレントが登場するテレビCMで警戒感は薄れ、入居する女性にスマート社が就職を仲介する取り組みに共感した。この不動産業者は「銀行がビジネスモデルを評価している」とPR。スルガ銀行(静岡県沼津市)への融資申請を勧めた。男性が自宅のローンを組んだもの同行で「銀行を信頼していた」。断られると予想していたが、仮審査はすぐに通り、シェアハウス建築を決めた。昨年7月に着工。しかし、基礎工事中の10月、不動産業者から「家賃保証が止まる」と電話が来た。「空き家があっても支払われるはずだったのに」。
弁護士に相談すると、不動産業者を通じてスルガ銀行の融資審査に提出した預金残高の資料の写しは、本来70万円なのに、2千220万円に書き換えられていたと分かった。男性は、妻に経済的負担を掛けないよう離婚も考えた。ローン返済のため、小学5年の長男に学習塾をやめてもらった。苦境を打開しようと、今は自力でシェアハウス開業を目指し、ベッドマットや電子レンジを買いそろえ、部屋に備え付けている。
入居者を募っているが、仮に満室になっても返済額には届かない。これまで問い合わせは1件のみで、まだ入居者はいない。スルガ銀行は金融庁の立ち入り検査中。内部調査で、複数の行員が審査書類の改ざんを知りながら融資した疑いが浮上している。男性は「詐欺ではないのか。行員が改ざんを知っていたとすうれば、許せない」と怒りをにじませた。
 被害700人 弁護団近く告発状 スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団などによると、シェアハウスのオーナーは約700人。多くは東京都板橋区のシェアハウスの男性のように、スルガ銀行から1億円を超える融資を受けていた。弁護団は4~5月、同行との交渉で、59人分の融資資料の開示を受け、少なくとも34人分で、給与所得や預金残高の水増しを確認した。弁護団は、融資を仲介した不動産業者や同行行員が資料の改ざんに関わった疑いがあるとみて、近く私文書偽造容疑などで警視庁に告発状を提出する方針だ。
同行経営企画部の担当者は取材に「(融資資料に)改ざん事例があることは認識している。行員が直接関与したという事実は確認されていない」と答えた。弁護団は同行にシェアハウスの土地建物を渡す代わりにローン返済を免除する救済策を要求。同行は応じず、オーナーと返済金利の減額などの個別交渉をしている。
弁護団とは別に、一部の被害者と代理人弁護士がスマートデイズなどを詐欺容疑で刑事告訴しようとする動きもある。同社の「かぼちゃの馬車」は2014年以降、オーナーが建てたシェアハウスを一括で借り上げて管理し、家賃収入を保証するサブリース方式で急拡大した。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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