5月2日 被害女性たたき筋違い

東京新聞2018年4月28日22面:「TOKIO」山口メンバー強制わいせつ容疑 人気アイドルグループ「TOKIO」の山口達也メンバー(46)が強制わしせつ容疑で書類送検された事件で、山口メンバーから自宅に誘われた被害者の女子高校生に非があるかのような発言が、一部の著名人やネットから発せられている。被害者たたきの風潮は、前財務次官のセクハラ問題にも共通する。有識者は「ともに被害者が断るのが難しい事案。ハラスメントの構造を理解するべきだ」と指摘する。
山口メンバーは2月12日、東京都港区の自宅マンションで、仕事を通じて知り合った女性高校生に無理やりキスをするなどしたとして今月送検された。26日に会見を開き、被害者に謝罪。無期限謹慎の処分となった。会見に同席したジャニーズ事務所の弁護士や本人の説明によると、山口メンバーは事件当日、日中から1人で焼酎を瓶1本分飲み、午後8時ごろ高校生を電話で自宅に誘った。肝臓の治療のため入院しており、この日は退院当日にもかかわらず酩酊状態だった。
事件が報じられると、「山口メンバーも悪いが(誘いを断らなかった)女子高生も不用心だ」などと高校生を批判する投稿がネット上で目立つようになった。26日の民放番組では、芸歴50年の歌手中条きよしさんが「蹴飛ばしてでも逃げられるし帰ってこられる。(わいせつ行為は)起きうることだから、行かないようにすべきだ」などと発言し、共演者から「高校生の非じゃない」と反論された。
では、高校生は山口メンバーの誘いを断ることができたか。山口メンバーと高校生が知り合ったのはNHKテレの10代向け情報バラエティー番組。司会者と出演者の関係で、NHKによると山口メンバーは2011年3月の番組開始から一貫して司会を務めていた。ハラスメントの問題に詳しい早田由布子弁護士は、「番組の仕切り役で芸能界のトップを20年以上走ってきた大人から、地位が不安定な駆け出しの高校生が誘われたという構図。断れば、番組内や将来においてどのような不利益な取り扱いを受けるか分からない。断ることなどできなかったはずだ」と指摘する。
まして、山口メンバーは父親ほどの年齢。捜査関係者によると、高校生は友人と二人で訪れていた。「性被害を受ける想定ができないのは当然だ。女子高生にまったく非はない」(早田氏) 同様の構図は、財務省の福田淳一前次官が女性記者にセクハラ発言をした問題にも共通する。情報を握る官庁トップの誘いに、情報を得ることが仕事である記者は応じざるを得ない。それにもかかわらず、被害を受けた女性記者の方が、一部から「ハニートラップ」などとバッシングされた。この問題は27日、財務所が福田氏のセクハラがあったと認定した。
早田氏は、この問題も「記者が誘いを断る選択肢は現実的に考えにくい」と指摘したうえで、窃盗事件を例に、被害女性へのバッシングが続く風潮を批判する。「いくら自衛しても財布を盗まれることはあるが、盗まれたいと思って盗まれる人はいない。ところが性被害になると、女性が『財布を盗まれても仕方がない』と言われてしまうような、いびつな構造がある」 早田氏は日本社会で女性の置かれた現状を嘆く。「これだけ社会進出を果たした今も、女性が対等な社会的存在とみられていない。性的視線から逃れられないことが、女性の社会的な地位まで脅かしている」(皆川剛)

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