5月2日 ネット求人「無料」の誘惑

東京新聞2019年4月29日1面:広告掲載後に高額請求 全国の中小でトラブル 「無料だからと電話で言われて求人サイトに申し込んだら、断りもなく延長されて高額の掲載料を請求された」。新潟県に本社を置くドラッグストアチェーンの採用担当者の男性(55)から情報が寄せられた。調べてみると、求人サイトの掲載をめぐる同種のトラブルは全国の中小企業などに相次いでいた。「無料で20日間、サイトに求人情報を載せませんか。案内をメールで送りたい」。男性の会社に横浜市中区の広告会社から電話がかかってきたのは昨年9月。人手不足で悩んでいた折、願ってもない申し出だった。メールアドレスを伝えてすぐ、確認書と申し込みが届いた。申し込んでから20日を過ぎて間もなく、掲載料48万6千円の請求書が届いた。男性が抗議すると、広告会社は「解約の申し出がないので更新した」と主張。確認書には「契約終了の4日以上前に申し出がない限り、期間を更新する」という趣旨の一文が目立たない場所に記載されていた。男性は約束と異なるとして支払いを拒否している。登記簿によると、広告会社は昨年6月に設立。同社が運営する求人サイトでは、北海道、東北、関東、信越、北陸など全国の地方ごとに、飲食・フード・営業・医療・介護・保育といった職種別にじょうほうが見られるようになっている。
本紙が確認したところ、この広告会社とトラブルになっている事業者ははかにもあった。広告会社は本紙の取材に「事前に電話で説明している。申し込んだのは相手の判断」と話した。近年、新たな求人サイトが次々に登場しているが、この広告会社以外が運営するサイトでも、同じようなトラブルが多数起こっている。ハローワークや大手サイトに出した情報を無断で転載されたケースもあった。地元企業から相談を受けて調べた沖縄県の高良祐之弁護士によると、同県だけで複数のサイトで40件以上の同種案件があり、請求通りの金額を支払った会社も少なくなかった。(土屋晴康)
同日23面:「弱みにつけ込まれ」ネット求人トラブル 人手不足深刻 嘆く企業 無料掲載をうたう求人サイトをめぐるトラブルが相次いでいる。勧誘電話でつい申し込んでしまった企業の採用担当者らの嘆きは深い。背景には人手不足が続く深刻な現状があり、悪質商法に詳しい弁護士らが注意を呼び掛けている。
厚生労働省が26日に発表した2018年度平均の有効求人倍率は、過去2番目に高い1.62倍となった。人手不足を背景に高水準が続いている。無料の触れ込みで申し込んだ求人サイトから、高額な掲載料を請求されたという採用担当の男性は「弱みにつけ込んだやり口で許せない」と憤る。男性の会社がある新潟県も、東京五輪関連の需要などもあって求人倍率は高水準。ハローワークやサイトに求人情報を出すものの応募は月に2,3件しかないという。
看護師不足に悩む病院もターゲットになった。福岡県の病院は1月、やはり横浜の同じ広告会社から電話で勧誘を受けて申し込み、48万円の請求書が届いた。電話で抗議してもらちが明かず、今後一切関わらないと約束させて、請求額を支払った。病院の担当者は「人手不足でわらをもつかむ思いで申し込んだが、応募は1件もなかった。ただただ腹立たしい」と声を落とした。個人の場合、消費者センターが相談に乗り、トラブル件数なども表面化するが、企業の相談には応じてくれない。企業などの事業者は、消費者の利益を守ることを目的とした特定商取引法も対象外。こうした状況に陥った場合、どうすればいいのか。
悪質商法に詳しい紀藤正樹弁護士は「電話で無料と言っており、民法上、口約束が成立している。有料という説明はなく、契約書にサインもしていない。請求額を支払う義務はない」と見方を示す。消費者問題研究家で悪徳商法被害者対策委員会会長の堺次夫さん(69)は「すぐに弁護士に相談した方がいい」とした上で、「悪徳商法は時代の世相に敏感。今の人手不足に目をつけたのだろうが、会社側も、無料ですぐに人が集まるという、うまい話はないと肝に銘じるべきだ」と強調した。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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