5月18日 「退職代行」に依頼殺到

東京新聞2019年5月14日24面:10連休明けの今「繁忙職場で言えず」「上司が届を拒絶」こじれる事例も「弁護士に頼んで」 会社を辞めたい。でも言い出せない。もめたらどうしようー。そんな悩みを抱える人に代わり、退職の意思を伝え、必要な手続きをする「退職代行」に依頼が相次いでいる。10連休明けの今はとりわけ多いとか。なぜ、退職代行を頼むのか。トラブルの心配はなにか。(中沢佳子) 「普段の依頼は月に30件ぐらい。この連休明けですでに10件あった」。半年前から退職代行の相談を受けている佐藤秀樹弁護士は語る。代行の料金は5万4千円。決して安くはない。電話やファクス、内容証明郵便などで退職に関する書類などを送り、退職金や有休消化の交渉も行う。退職の手続きを他人に任せると聞くと「無責任な若者」「アルバイトや派遣」というのが世間のイメージ。
実際は、それなりの会社に勤める正社員の相談が多い。「パワハラ体質の会社で辞められないケースが半分。職場自体が忙しく、自分が抜けた後を考え、言い出せない人もいる」昨年8月から退職代行の相談を引き受ける小沢亜季子弁護士は、ブログやツイッターでも退職に関する情報発信や投稿をしている。労働問題には深い思い入れがある。「弟が新卒で就職し、半年後に亡くなった。私は過労が原因だと思っている。弟の携帯電話には『仕事辞めたい』『会社の辞め方』と検索した形跡があった。辞めたくても辞められず、自殺したり心身を病んだりしては元も子もない」小沢さんは月30~40件の依頼がある。4月1日からの転職を目指してか、年度末前に多い。曜日では月曜日が多く、「他の日の2倍になる」。年齢は10~60代と幅広く、中心層は20~40代。従業員数千人以上の正社員が多い。
大企業なら退職金手続きもスムーズかと思えば、さにあらず、「会社がホワイトでも、職場がブラックで上司が退職届を受理しないケースもある。法人と一個人では交渉能力が違い、不利になることもある。しかし、人手不足が深刻で雇用条件は改善せず、長時間労働は増すばかり。退職代行は最期の頼みの綱として頼られるのだ。そのニーズを狙って、弁護士でなくても交渉を代行する業者も現れている。小沢さんは「業者の存在を知って、こういうケースがあるのかと驚いた」と語る。ただ、こういった業者は「グレー」だ。弁護士でない業者が代理人となって交渉し、報酬を得るのは弁護士法で禁じる「非弁行為」。業者が罪に問われかねない違法行為だ。小沢さんは「違法にならないよう交渉すると、できることは限られる。弁護士でなければできないことも多い」と警鐘を鳴らす。
法政大の上西充子教授(労働問題)は「労働者の立場は弱く、『辞める権利』を行使しにくい状況はある。賃金や休みをもらえないこともある。一方で失業保険の受け取りや転職先への手続きなどに必要な書類は会社が管理しており、辞める際のやりとりは多い。退職代行のニーズは、以前からあったのでは」とみる。そして、「こじれる事例があるからこそ、専門家が間に入る意味がある。単なる業者でなく、労働問題に詳しい弁護士など適切な人に頼まなくては」と注意を促す。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る