5月18日 「権力者も人間 示す表現」

東京新聞2019年5月15日24面 映画「空母いぶき」首相演じる佐藤浩市さん 雑誌インタビュー「お腹弱い」役作りで炎上 「安倍応援団が騒いでいるだけ」 24日に公開予定の映画「空母いぶき」で首相役を演じる俳優佐藤浩市さんが、原作を連載中のコミック誌のインタビューで、役柄について「彼はストレスに弱くて、すぐお腹を下してしまうっていう設定にしてもらった」などと話したところ、「安倍晋三首相を揶揄するな」などとネット上で批判が殺到した。
問題のインタビューは、10日発売の青年コミック誌「ビックコミック」に掲載された。映画は同誌で連載中の同名の原作をもとに製作されており、映画の宣伝のため、この号の表紙は佐藤さんのインタビューで、劇中の首相「垂水慶一郎」を演じた佐藤さんのインタビュー記事を掲載している。この中で、佐藤さんは、「総理大臣役は初めてですね」との質問に「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残っているんですね」と答えている。その上で、「彼はストレスに弱くて・・」で始まる役の設定について話した。「日本は常に『戦後』でなければいけない」と平和の尊さを語る言葉もある。このインタビューに対し作家の百田尚樹氏は12日、ツイッターで「思想的にかぶれた役者のたわごとを聞いて、下痢する首相に脚本を変更するような監督の映画なんか観る気がしない」「三流役者が、えらそうに! 何がぼくらの世代では、だ。人殺しの役も、変態も、見事に演じるのが役者だろうが!」と罵声を浴びせた。出版社の幻冬舎の見城徹社長も「最初から首相を貶める政治的な目的で首相役を演じている映画など見たくもない。自分の発言がどれだけ共演者やスタッフに迷惑をかけているのか、よく考えて欲しい」などとツイート。安倍首相支持者や百田、見城氏らのファンとみられる人による同様の批判が相次いだ。試写を見たという映画評論家の清水節さんは、百田氏らの批判について「インタビューの一部を切り取って解釈し、自分の意見を言うのに利用している」と指摘。「佐藤さんは、弱さを持った一人の人間という立場に立った当事者として、次第に成長するプロセスをうまく演じている。権力者をモデルとして役作りの参考にするのは、リアルさを追求する上で当たり前のことだと思う」と話した。ジャーナリストの青木理さんは「インタビューで佐藤さんは『どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、自分にとっても国にとっても民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたいと思ったんです』などとまじめに役作りの話をしている。批判している人たちは全部読んでいないか、よほど読解力が低いのでは」とばっさり。佐藤さんがインタビューで、ある政治家から聞いた話として「どんな人でも総理になると決まった瞬間に人が変わるっていうんです。それぐらい背負っていくものに対する責任を感じる」と答えているのを挙げ、「すぐお腹を下してしまう設定は、権力者といっても一人の人間として、弱くて葛藤があることを表現しているのではないか」と指摘した上で、こう語った。「百歩譲って、仮に偽政者を揶揄しているとしても、映画を含むあらゆる芸術は、政治を揶揄したりちゃかしたりするもの。安倍応援団が反射的に騒いでいるだけだ」

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