5月17日 サザエさんをさがして

朝日新聞2018年5月12日be3面:一人暮らしの高齢者 遠慮しないで、ルリコさん 「ルリコ」。その名から、漫画のおじさんは、誰を想像したのだろう。たしかに、かつて電話ボックスにあやしげなチラシがいっぱい置いてあったものだ。不純な動機で浮かれてタクシー飛ばすおじさんたちを、お年寄りの介護の手伝いに送り込むとは、サザエさん、おそるべし!
照明からつるした長いひもや、寝床の周りの散らかりなどから、ルリコさんは、寝たきりで一人暮らし、と思われる。掲載時の1972年は、有吉佐和子の小説「恍惚の人」がミリオンセラーとなり、「老人問題」が大きくクローズアップされ始めた時期だった。70年から日本は65歳以上が人口の7%を超える「高齢化社会」に入っており、71年版の厚生白書は、とくに深刻な問題として、約62万人の一人暮らしの高齢者の多くが経済的にもよくない状態にあると指摘。21%が世話を必要としているのに受けられていないと書いていた。
当時、独居老人の公的支援として老人家庭奉仕員(ホームヘルパー)制度があったが、対象は低所得者に限られていた。まだ「見守り」という言葉もなかったが、一人暮らしの高齢者の安否確認サービスの必要性が自治体で意識され始めるのもこのころだ。地域の見守りは主に民生委員や老人クラブなどに担われていたが、民間企業の動きもあった。
72年、福島県のヤクルトの配達員が高齢者の孤独死に心を痛め、配達地域の一人暮らしの高齢者を自発的に訪問し始める。「愛の訪問活動」と名づけられた動きは、全国へ、90年代には約500の自治体と提携。今も4万1千人の一人暮らしの高齢者を訪問する。ヤクルトCSR推進室長の山田勝士さんは「ビジネスの見守りサービスではない」と断りつつ、「ヤクルトレディが商品を手渡して、会話をかわすということが見守りにつながった」と説明する。
世界でも例のない速さで高齢化が進む日本。2016年、高齢者の一人暮らしは655万9千世帯に達した。老老介護の時代、人手不足は深刻だ。厚生省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、高齢者が住み慣れた地域で最後まで暮らせる「地域包括ケアシステム」の構築を掲げる。一人暮らしの高齢者はどうなるか。記者にとっても他人事ではない。介護・支援に詳しい東邦大の岸恵美子教授(公衆衛生看護学)に今の課題を聞いてみた。
「比較的元気な一人暮らしの高齢者には、電球の交換など、日常生活のちょっとした困りごとへの支援が必要なのです。なのに介護保険や今の民間サービスではそこに対応できていませんね」一方、寝たきりなど重度の介護を要する人にとっては、在宅で一人だと介護保険のサービスだけでは不十分、家族の手などに頼らざるをえない現状がある、という。
このところ、様々な技術を駆使した一人暮らしの高齢者向きの見守りサービス・商品が続々と登場している。ただ、岸さんは、安否確認だけでなく、もう一歩進んで、社会や地域とつながり、交流ができるようなサービスの提供が必要だとみている。さらにこんなアドバイスも。「高齢者ご自身も困ったときに遠慮せず、声をあげていただき、ご近所で『お互いさま』ができればいいと思います」(林るみ)
*紙面ではサザエさんの4コマ漫画を掲載しています。

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