5月14日 汚れた廃プラ海外処理困難に 

朝日新聞2019年5月11日夕刊1面:吸い殻が入ったペットボトル、使い終えたシャンプー・・ 有害廃棄物の国境を超えた異同を規制するバーゼル条約の対象に、汚れた廃プラスチックを加えることが10日(日本時間11日)、スイスで開かれていた同条約締約国会議で採択された。リサイクル資源として扱われる汚れた廃プラは、輸入国政府の同意がなければ輸出できなくなる。世界規模で廃プラの輸出入を規制する制度は初めてとなる。汚れた廃プラを規制対象にする改正はノルウェーと日本が主張した。会議では対象になるプラスチックの範囲をめぐって対立もあったが、最終的には汚染や他のごみの混入が「ほとんどない状態」のものを除いた廃プラを規制対象とすることで合意した。実際の運用は各国の判断に委ねた。2021年1月に発効する。
日本からバーゼル条約の規制対象を輸出する場合、条約に基づく輸入国の同意に加え、輸入国に日本国内と同等の処理体制がないと輸出を認めないことが、国内法令で定められている。輸出先のアジアなど途上国で日本と同じレベルの処理体制の国はほぼなく、日本からの汚れた廃プラの輸出は事実上、難しくなる。環境省は、汚れた廃プラの対象について指針を定める方針。たばこの吸い殻が入ったペットボトル、使い終えたシャンプーの容器、土や石が交じった状態のシートなどが想定される。日本に年間の廃プラの排出量は約900万㌧。うちリサイクル資源として17年は約143万㌧を輸出した。大半を受け入れていた中国が17年末に輸入を原則禁じたため、18年は中国への輸出が激減した一方、タイ、マレーシアへの輸出が増えるなどし、計約101万㌧を輸出した。その中には、汚れた廃プラも含まれているとされる。
止まらぬ海洋汚染 背景には、プラごみによる海洋汚染が地球規模の問題として深刻化していることがる。リサイクル資源として輸出入されている廃プラのうち、汚れがひどいものなどは輸入国で適切に処理されずに、海に流されてごみになっているものもある。紫外線や波で劣化して5㍉以下の細かいマイクロプラスチックになり、魚や貝の体内から見つかるようになってきた。バーゼル条約の会合でも、廃プラへの関心が高まり、議論されてきた。廃プラ全体の規制には難色が示されたため、昨秋、ノルウェーは「リサイクルに適さないほど汚れた」ものを規制する付属書改正案を、今締約国会議に向けて提案。日本は賛同した。
日本の海洋プラスチック問題への対応では、昨年6月にカナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議で、プラごみ削減の具体策を各国に促す「海洋プラスチック憲章」に英仏独伊とカナダ、EUが署名したが、日本は米国とともに見送り、国内外から激しい批判を浴びた。政府が今年3月にまとめたプラ資源循環戦略案では、使用済みプラ容器包装の再利用やリサイクルの割合などで、憲章を上回る目標を掲げている。(神田明美、ジュネーブ=吉武祐)
バーゼル条約 1980年代に欧州先進国から廃棄物がアフリカの途上国で放置された環境汚染などの問題が起きたことをきっかけに、有害廃棄物の国境を越える移動についての手続きを規定した条約として作られ、92年に発効した。現在の締約国数は、187カ国・機関、日本は93年に締結した。有害性を持つ多くの廃棄物が対象で、輸出する際は、輸入国の事前同意が必要になる。

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