5月12日 人生の贈りもの 役者 樹木希林①

朝日新聞2018年5月8日35面:がんになり腰が低くなりました がんと付き合って、もう13年になります。これまでに30カ所を治療してきました。でも、口だけは達者だから、何だか元気そうに見えるらしくて、「死ぬ死ぬ詐欺」なんて言われてますねどね。≪2005年、乳がんで右乳房全摘出手術。13年の日本アカデミー賞受賞式で、全身がんであることを公表した≫ 乳がんの時はね、胸にしこりがあったので、病院で先生に「がんですよね」と聞いたら「いや、違うでしょ」と答えるの。「きっと、がんですよ」と粘るとね、「じゃあ調べてみましょう」と。検査後に先生が「やっぱりがんでした。よく分かったねえ」と感心するのよ。私の場合、がんの告知まで、間の抜けた感じになっちゃうのよね。
その後、体のあちこちに転移したので、最近は年1回、鹿児島の病院へ放射線治療を受けに行ってました。1日たった10分の照射。でも1ヵ月かかるのよ。人生を見つめ直す良い機会になったけれど、飽きてくるでしょ。「先生、1週間で仕上げてもらえませんか。少々焦げてもいいですから」って言ったんでだけど。でも、闘病しているという気持ちは全然なかったわね。抗がん剤治療で苦しむ患者さんを何人も見ました。でも、私の治療法だと、生活の質が全く落ちなかった。だから、とても満足しています。
病気になったことでメリットもあるんですよ。賞を取っても、ねたまれない。少々口が滑っても、おとがめなし。ケンカをする体力がなくなって、ずいぶん腰が低くなったし。そう言うと「ウソだろ」って突っ込まれるけど、若い頃はこんなもんじゃなかった。本当に偉そうだったんですよ。(聞き手 編集員・石飛徳樹)
きき・きりん 1943年生まれ。テレビドラマ時間ですよ」「寺内貫太郎一家」で人気を博す。映画「歩いても歩いても」「悪人」「わが母の記」「あん」などで女優賞を多数受ける。今年「モリのいる場所」「万引き家族」「日日是好日」が公開される。

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