5月12日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2019年5月10日25面:洗濯機の声 ♪かーごめ かーごめ と、歌声に聞こえたのでる。夜中に。寝ていたら。こわいよ。しかも、ずっと、♪かーごめ かーごめ で、籠の中の鳥は~、に、いかない。こわい。もし、わたしが17歳なら「きのう、出たのーっ」って、次の日クラスでお披露目だけども、まあ、もう今年50歳。布団の中で分析してみると、これは一階にある洗濯機が回っている音だった。うわん うわん ってのが かごめ かごめと、聞こえているのだ。
タイマーでセットして、朝起きたら1回目が終了しているようにしている。でも、もう1回考えてみる。どうしてこの時間に起きた? あ。わたし、具合が悪い。胃が痛い。「トイレに行け~」って、体が言っている。行った。洗濯機が「洗い」から「すすぎ」になって どーした、どーした と、言っている。これは「あたった」痛さだ。なにか悪いことした? 最近マジメだったよ? 大型連休もどもにも行っていないしさ。あ、嘘だ、し、し、潮干狩りにいった。でもア、アサリが小さくて全部海に戻しただよ。いいことしてない? あああ、またトイレ。う、がああ。しりめつれつ。翌朝、ヨシダサンが原因を考えて、スティーブ・ジョブスみたいに手にアゴを乗っけて「タケノコ?」と、発表した。そうだジョブズ、原因は「筍」だ。もらった筍を「アクが強くてたくさん食べられないけど、おいしい」と、毎日食べた。最後は筍をぜーんぶ細かくして、キクラゲとシイタケ、ひき肉と炒めて、とろみをつけて、それがアクを感じず、体で筍を、筍を、浴びた。春を表現している。し、してねーし、うがが。またしりめつれつ。「俺がおいしく作っちゃったから・・」 と、元気なジョブズ。ムスメも元気。痛いの、わたしだけ。どんだけ。洗面所でやつれた顔を見た。未来の、なんか、60歳の自分が見えた。こういう顔かあ~。となりの洗濯機が乾燥を終えて、シーンとなっていた。(漫画家)

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