5月10日 カジノと再開発「下」

朝日新聞2019年5月9日7面:揺れる横浜「カジノ抜き」案も カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の候補地と目された横浜市の山下埠頭。そこを拠点に港湾事業者を束ねる横浜港運協会の会長で「ハマのドン」の異名を持つ藤木幸夫氏(88)がカジノ反対を掲げたことは、横浜の政財界関係者を驚かせた。IR誘致は、横浜商工会議所などが推進し、横浜市も当初は前向きとされた。市は2014年、山下埠頭の跡地利用について話し合う市の有識者会議を立ち上げ、その答申には「大規模空間を生かした観光・MICE(国際会議、展示場など)・文化・芸術などの魅力的な機能の導入」といった文言が盛り込まれていた。
市は14年度から3年間かけてIRの基礎的な調査を行った。16年末に国会でIR推進法が成立すると、林文子市長は「都心臨海部を活性化し、観光MICEを推進するのに有効な手法」などとコメント。IR誘致の流れができつつあったかにみえた。しかし17年ごろから、IR誘致に絡む林市長の発言は慎重になっていく。藤木氏は林市長の支援者の一人でもある。地元の新聞社が行ったアンケートでは、IR誘致に反対する人が6割を超えた。今年4月の市議選でも、カジノ反対を公約に掲げる候補者が目立った。林市長は4月、朝日新聞の取材に「IRは有力な選択肢の一つとしていた」としつつ、「カジノに起因した依存症などについて市民から不安や懸念の声をいただくようになった。市として慎重な検討が必要だという考えに至った」とコメントした。
山下埠頭の再開発はどうなのか。コンテナの大型化に対応できず、港では「脇役」に追いやられていた山下埠頭が生まれ変わることへの地元の期待は大きい。そこで横浜港運協会がめざすのが「カジノ抜き」で、国際展示場やクルーズ拠点、コンサート劇場などを整備する再開発計画だ。昨年3月、協会が開いたギャンブル依存症を考える勉強会では「カジノなのが付加価値を増す」などと訴えた。協会幹部は「重機などの商談をここで行い、港からすぐに出荷できるようなスケールの大きな国際展示場をつくりたい」よ語る。協会は今月7日、一般社団法人「横浜港ハーバーリゾート協会」を立ち上げた。カジノ抜き再開発の旗振り役になるという。ただ、こうした構想を疑問視する声もある。新法に基づく統合型リゾートは、国際会議場のような大型施設の整備や運営をカジノの収益で補う収支構造が想定されている。カジノの収益の一部が「納付金」として国や自治体に還元されるしくみもある。IRに詳しい政府関係者は「カジノ抜きの構想はちょっと考えられない」と話す。IR実施法でIR整備は全国で最大3ヵ所までと決まっていて、自治体の立候補が前提だ。横浜市の判断はまだ見通せない。(松田史朗)

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