4月8日 モリカケ終わらせない 佐川前国税庁長官 不起訴不当の議決

東京新聞2019年4月3日22面:「捜査尽くして」「誰も責任取っていない」 元号が新たになったところで安倍晋三首相に向けられた疑惑がリセットされるものではない。森友・加計学園問題のことだ。国有地売却や財務省関連文書の改ざんなどを巡っては、有印公文書変造・同行使などの容疑で告発され、大阪地検特捜部が不起訴処分とした佐川宜寿・前国税庁長官らについて、市民で構成する検察審議会は「不起訴不当」と議決した。疑惑追及の先頭に立ってきた人たちが語る。「モリカケを終わらせない」(石井紀代美、中山岳) 「とにもかくにも、検察が不起訴にしたのはおかしかった、いうこと。今度こそしっかり捜査してもらわんと」。近畿財務局に行った情報公開請求から、森友学園の問題に最初に気が付いた大阪府豊中市議の木村真さんは、大阪第一検察審査会が3月29日に公表した議決について語る。森友学園を振り返る。財務省が2016年6月、国有地を「タダ同然」の格安価格で森友学園に売却。学園側が建設中だった小学校の名誉校長には、安倍首相の妻昭恵氏が就任していた。学園と同財務局とのやりとりを記した公文書は廃棄。国会に提出した公文書は、昭恵氏の名前など都合の悪い部分を削った。改ざんを苦にした職員が自殺に追い込まれている。怒った市民が背任や有印公文書変造・同行使容疑などで、当時財務省幹部として関わっていた佐川前国税庁長官らを大阪地検に告発。地検特捜部は捜査したが、「不起訴」とした。
木村さんを含む複数の市民グループが検察審議会に申し立てた。検審が計38人を審査し、佐川氏ら計10人を「不起訴不当」と議決した。くじで選ばれた11人の市民で構成する審査会は、8人以上が起訴すべきだと判断すれば「起訴相当」なり強制起訴への道が開ける。今回は制度上、一歩手前の「不起訴不当」にとどまったが、少なくとも過半数の6人は検察の判断にノーを示したことになる。元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は「起訴相当」の判断に至らなかった理由を「検審の議決は、事実認定が甘く法的な分析ができていない点がある。背任罪を巡っては検察が集めた証拠が弱いこともあり、犯罪が成立するか立証の難しさがあるだろう」とみる。今後、検察が改めて起訴するのかどうかを検討するが、仮に不起訴と判断すれば捜査は終結となる。
NHK大阪放送局の記者時代から森友問題を取材し、現在は「大阪日日新聞」に転職した相沢冬樹氏も「検察審査会は公開の法定の場で事実関係を明らかにするよう促している。『起訴すべきだ』と言っているに等しい。私は、背任について捜査を尽くしていた検事がいたことも知っている。今度こそ、特捜部が正義にかなう判断を」と訴える。申立人の一人の坂口徳雄弁護士は議決書に「捜査を尽くすべきだ」という表現が複数出手くる点に着目し「そもそも検察が、不起訴ありきで十分な捜査をしていなかった」と指摘する。再考を促すボールが投げ返されたが、検察が結論を覆すか。「なぜ文書を隠蔽し、改ざんしたのか。刑事事件では厳しいのかもしれないが全然明らかにされていない。民事裁判などあらゆる手法で真相解明しないと」と坂口氏は強調する。出前の木村さんは言う。「政治家も官僚も誰も責任を取っていない。このままうやむやにされるなら、日本は特定の人に国有地を安売りしても、公文書を改ざんしてもOKな国ということ。民主主義の崩壊や。改元の祝福ムードの陰に隠されるような問題やない」
 同日23面:政権による私物化進む 晴れぬ疑惑 国民は忘れないで 森友問題で明らかになった文章改ざんは、公務員が細心の注意を払うべき公文書を、都合良く書き換えた前代未聞の不祥事だ。追及にかかわってきた専門家たちも危機感を示す。検審に申し立てた神戸学院大の上脇博之教授(憲法)は「これだけのことをして誰も罪に問われないなら公務員の不正に歯止めがきかなくなる」と危ぶむ。「一連の改ざんは本当に官僚の倫理だけで進められたのか、説明がつかない。直接にせよ間接にせよ政治家の圧力は本当になかったのか。公開の法廷で審理することで、明らかになる部分はあるはずだ」と話す。
何より、問題をうやむやにして悪影響を被るのは国民だ。「公務員がどこからか圧力を受けて公文書を書く換え、国民がそれにだまされるなら、情報公開制度は吹き飛ぶ。国民の知る権利は守られない」と語る。森友に限らず、家計学園の獣医学部新設を巡っても「官僚の忖度」が問題になった。「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」発起人、醍醐聡・東大名誉教授(会計学)は「一連の問題は、安倍政権のものとで公務員や国有財産などの『私物化』が進んでいることを明らかにした。元号が変わろうがこうした問題は続いている」と指摘する。深刻なのは政権による「私物化」が、森友問題にみられるような国有地にとどまらない点だという。「公文書改ざんにみられるような『情報の私物化』は深刻だ。統計不正や、アベノミクスの成果を疑わせるデータを出さないといった点にもみられる」2月に安倍首相が自衛官の新規募集について、「自治体の6割以上が協力を拒否している悲し実態ある」と発言したのも醍醐氏は見過ごせないとする。
「自衛官募集への理解が得られていないという理由をばねに、改憲議論を進めようという意図にみえる。政権が自らの都合で改憲を促すような動きは、憲法の私物化とすら言える」駒沢大の山崎望教授(現代政治倫理)は「新元号で新たな時代が来るという期待を人々が抱くのは、精神論としては否定しない」と断りつつ、「改元と、森友・加計問題などの政治課題は別次元の話。お祝いムードの中で、山積みしている問題がリセットされるかのような風潮は間違いだ」とくぎを刺す。そもそも森友・加計問題については「『官僚の暴走』であれ『政治家の圧力』の結果であれ、いずれにしても安倍政権の統治能力が失われていることを示している」と指摘する。「政権はこれまで説明責任を果たしたとは言い難く、長期間、放置してきた。これまでの選挙で多数派を取ったから国民の理解を得られたと判断するのは、おかしい。今からでも説明責任を果たす必要はある」と語る。
一方で「国民が許容してしまえば、政治の多数派による『専横』とも呼べる事態も起きてしまう」と警鐘を鳴らす。山崎教授は、安倍首相に対し、自民党内から総裁「四選」を期待する声が出る状況も無関係ではないという。こうした事態は国内に限らない。分かりやすい例が米国のトランプ政権の独善的振る舞いだという。「選挙に勝って権力を握れば、政治課題や疑惑が起きても説明責任を果たさない。民主主義のルールさえ逸脱するように振る舞う。世界的にはこうした権力者が珍しくなくなっている」「国民は、森友・加計学園を含めて継続している政治問題を忘れないことが大切だ。一連の問題をこれからも注視し、責任の在りかを問わなくてはならない」と話している。 デスクメモ:森友学園が小学校建設を目指した国有地から数㌔、大阪伊丹空港に米軍のオスプレイが不時着した。国有地を友達に売却したと疑いの目を向けられている首相は、日本の空を私物化して米軍に与えている。一つ一つ異議を唱えるのは骨が折れるが、諦めた時に民主主義も人手に渡る。(直)

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