4月7日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2018年3月30日33面:いびきの次は何? どうやら、かくそうなのだ。いびきの話である。つい先日も、女友達と旅先のホテルに泊まったとき、「かいていた?」と聞いたら、「うん、ちょっと」ちょっと、を付けてくれたのは、おそらく友の優しさであろう。そういえば、高校時代の友人らと女子会をしたときに、「50歳になったらさ、記念にみんなでどっか泊まりに行かへん?」という話題に。すると、ひとりの友が言った。
「あ、でもわたし、個室にするわ。いびきかくらしい」わたしも手をあげる。「わたしもかくらしい」すると、別の友が違う角度から参戦してきた。「わたし、この前、おねしょしたで」突然の告白である。寝ているときに、あっ、と思って跳び起きたら、「ちょっと出てた」とのこと。「布団はセーフやってん」
みんなで大笑い。こんなことを勝手にエッセーにしていいのかと案ずる方もいるかもしれないが、彼女は、こうも言っていた。「これ、書いてええで」(なんでや!)ちなみに大阪弁の「書いてええで」は「書いて」という意味である。
大阪。生まれてから20代の半ばまで育った場所である。教室のひとつの机に集まり、みなで話していた。「将来さ、大阪弁以外のところには住みたないな」「絶対、イヤや」なのに、集まった5人のうち、今も大阪在住なのはひとりだけ。標準語の自分とのつきあいも長くなった。電車に乗り込むときまでスマホをのぞいている人の背後で、「ええから早よ乗りぃな」と、頭の中でつっこむことはあるものの、普段は大阪弁は、ほぼ出てこない。月日は流れているのだ。
いびきもかくらしい。友はおねしょである。次はなんなんですかね? この先もいろいろ追加されていくのだろうが、そのたびに、笑い話にできるくらいであればよいなぁと思うのである。(イラストレーター)

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