4月6日 新聞を読んで 藤巻光浩

東京新聞2019年3月31日5面:民主主義の修復のために 米軍基地や原発は国の専管事項とはいえ、沖縄の合場合、県民投票によって拒否され、原発の再稼働に関しは住民投票を求める声が増えた。これに呼応し、東京新聞は、壊れつつある民主主義を修復しようと具体的な提案をしている。例えば論説副主幹・豊田洋一氏は「視点」(3月15日朝刊4面)で、このまま沖縄県民投票の結果が黙殺されるならば、代議制民主主義(間接民主主義)は再生されなくてはならないと主張した。
住民投票を求める提案は、多くが地方議会によって否決されてきた。13日特報面は県民投票の実現を求める市民団体のいくつかを取材し、政治家による決定が住民の声を聞くことに勝るのか否かを問うた。同面が示す「代議制民主主義の再生」は、それに直接民主主義の要素を加え、住民投票の結果を政府や議会が尊重するしくみを作ることにある。「議会の機能回復も期待できる」(デスクメモ)とあり、事例の紹介を待ちたい。
住民投票への請求や実施が増えた理由は、人々の思いや考えが政治に反映されていない認識があるためだ。14日の社説によれば、首相官邸に権力や権限が過度に集中し、官僚による忖度を許す上、与野党問わず現政権に対抗できる人材も不足している。「安倍4選」のうわさまで聞こえてきた。戦後民主主義への過言が排外主義を許し、社会の軸も変えたとの省察が同日特報面「編集局南端日誌」にあった。実際、民主主義が無条件に機能する万能感に任せ過ぎたのかもしれない。
政治哲学者シャンタル・ムフ著「左派ポピュリズムのために」を紹介した19日同面は斬新だった。ジャーナリズムはポピュリズム(大衆迎合主義)とは一線を画してきたが、米国のサンダース上院議員やスペインの政党ポデモスなどによる左派の躍進に注目。ポピュリズムは対立軸を明確し、怒りなどの感情を政治に結集させる。一方、それ故に真逆に転じ得る不安定な手法であることも指摘し、抑制の効いた論考となっていた。左派間のマンティング合戦を突いたのも鋭い。
政治とは、特定の考えや政策への合意を人々に求める連帯のための実践だ。そうである限り、左派ポピュリズムもまた民主主義を実現する政治手法の一つ。そのための理性を育む、安定した生活基盤を整えることも大切になる。17日の社説が主張するように、「人々が幅広く繁栄を分かち合うように設計された市場」を国が適切に制御、つまり税制でしっかりと調整すべきだろう。一部だけを富ませる税制は連帯を壊す。そして、不安定なポピュリズムを招く。民主主義がまともに機能するためのあらゆる可能性や方法に賭けたい、と考えさせてくれる3月の紙面であった。(フェリス女学院大教授)*この批評は最終版を基にしています。

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