4月5日てんでんこ 横丁最後の春「10」懸念

朝日新聞2018年3月28日3面:横丁のママたちも自前の再建計画を示した。でも、市に拒まれた。 震災7年過ぎると急に、時計が速くなったようだ。岩手県釜石市の仮設飲み屋街「呑ん兵衛横丁」では3月31日の閉鎖に向け、すでに退去した店の内装撤去が進む。残る店は6店だけ。それでも東京・渋谷ののんでい横丁の支援で建てた看板はいつも通りに点灯する。「お恵」の菊池悠子(79)と「とんぼ」の高橋津江子(76)の開店前の日課、「お茶っこ会」も変わらない。ただ、会話の合間、深いため息が出る。「私たちの代で横丁が終わると思うと、夜に寝ていても涙が出てくる」高橋の言葉に菊池が返す。
「この看板もどうしたらいいかと思ったら俺は寝られねえ」 市は、新しい飲食街の整備や支援制度の拡充で再建への選択肢は示したとする。それでも現実、後継ぎのいない高齢の経営者を中心に仮説に取り残された。菊池ら横丁のママたちも、ただ待っていたわけではない。いっときは、隣のプレハブ棟でバーを営む山崎健(49)らの練る民間資本を活用する飲食街再建計画にかけた。山崎派横丁を含む仮設浸食街全体のリーダだ。
候補は近くの私有地で、震災の支援物資の受け入れ基地に使われた。そこに4階建ての店舗兼賃貸住宅を造り、横丁を入れれば、歴史と伝統をつなぐことができる。家賃収入で建設費などを賄う。そんな構想だった。土地を貸して、と市と交渉を重ねたが昨年10月の正式に断れた。収支計画が不透明と指摘された。同時に、土地は2019年秋のラグビーW杯に向けて駐車場に使うとだめを押された。「復興の姿を世界に見せる」と市が試合を誘致した国際大会だ。
山崎のバー「LINK」も震災前は横丁そばにあった。だが、近くにできた新しい飲食街での再建は選ばなかった。「津波で浸水した場所に店は戻せない」。震災直後に国土地理院の観測値をチェックした。「それが地震で地盤がさらに沈んでいたから」市は中心部を、基本かさ上げなしで再建する。ギネス世界記録を持つ巨大な湾口防波堤と高くした港の防潮堤、内陸側に造る巨大な堤ー。その3重の砦で守る計画で、冠水対策の排水ポンプも整備する。だが、自然は制御できない。
(山浦正敬)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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