4月28日 社説 奨学金破産

朝日新聞2018年4月23日8面:返せる仕組みへ工夫を 大学や専門学校などで学ぶため奨学金を借りた人や、保証人になった親族らの自己破産が、16年度までの5年間で延べ1万5千件もあることがわかった。奨学金だけが原因なのか、必要以上に借りたのではないか、といった声も耳にする。むろん完済するのが義務だが、そうできない事情や制度の問題点にも目を向ける必要がある。まず挙げられるのは、卒業後の仕事の不安定さだ。
奨学金事業の大半を担う日本学生支援機構によると、3ヵ月以上滞納している人は、減る傾向にあるものの、なお16万人、全体の4%いる。3人に1人は非正規労働で、失業や休職中の人も8人に1人。7割は年収が300万円未満だ。非正規雇用の拡大が影を落としており、これを自己責任の一言で片づけることはできない。
借入額が数百万円にもなる背景には学費の高騰がある。国立大でも授業料は年53万円余で、30万円だった30年前とは負担の重さが違う。破産者はまだ増える心配がある。4年前、経済的に苦しい若い人のために返済を猶予する機関が5年間延長された。その期限が切れる人が来春から出てくる。機構も近年、期間は長くなるが月々の支払額を軽くして返済しやすくする方法を複数用意するなど、改善を進めてきた。だが見直せる点はまだある。
たとえば年5%という延滞金の利率だ。東京大の小林雅之教授は「延滞を防ぐためのペナルティーなのに、かえって返済を難しくさせている面がある」と指摘。延滞金額に上限を設け、それ以上は負荷をかけない仕組みに改めるよう提唱する。また、収入に応じて毎月の返済額が変わる制度を選べるようになったが、大正は新規奨学生の一部に限られる。さかのぼっての適用も考えてはどうか。
破産の連鎖防止も課題だ。親族などでなく、法人が責任をもつ「機関保証」を広げ、そちらへの切りかえを促す工夫をすべきだろう。加入者が増えるほど保証料を安くすることができ、使い勝手がよくなる。広報や教育にも力を入れたい。親をふくむ利用者の知識不足が、特に延滞者に目立つという。機構の調査に、卒業してから「奨学金は返すもの」と知ったと答えた人が2割もいた。苦しくなったときに利用できる救済制度を知らない人も多い。
大学生の半分が何かの奨学金を利用する時代だ。その知識は若者に必須といえる。高校の授業でもくわしく教え、転ばぬ先の杖を授けてもらいたい。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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