4月28日 上野千鶴子さん祝辞 東大生の受け止めは

朝日新聞2019年4月25日33面:上野千鶴子氏の祝辞の主な内容 ‣複数の医学部入試で合格率に男女差があった。東大入学者の女性比率も「2割の壁」を超えず、今年度は18.1%。4選製大学進学率も女子の方が7㌽低いが、それは成績の差ではなく、「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別だ。 ‣性差別は東京大学も例外ではない。教授の女性比率は7.8%。学部長・研究科長は15人中1人で、歴代総長に女性はいない。 ‣頑張れば報われると思えるのは、努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないでほしい。恵まれた環境と能力を、自分たちが勝ち抜くためだけだけでなく、恵まれない人々を助けるために使ってほしい。
社会学者の上野千鶴子さんが、12日の東大入学式で述べた祝辞が反響を呼んでいる。入学者の女性比率が約2割に過ぎないことなどを挙げて「性差別は東京大学も例外ではない」と述べるなど、「おめでとう」一辺倒ではない祝辞。東大生たちはどう受け止めたのか。
ジェンダー諭盛況 24日夕、東大駒場キャンパスであった「ジェイダー諭」の授業。祝辞の影響か、536席の教室に多数の立ち見が出た。担当する瀬地山角教授によると、前回の授業後に提出させた感想には、東大のジェイダー意識の現状を優れるものが複数あった一方、祝辞の間、鼻で笑っている男子学生がいた、との記述もあったという。このため、この日は、男女雇用機会均等法(1985年制定)ができるまでの女性が置かれていた状況について伝える内容に変更した。東大はこれまで、女学生を増やそうと、女子高校生向けの説明会を開いたり、冊子を作ったりしてきた。2017年度からは家賃補助制度も始めた。それでも、今年度入学者の女子学生の比率は18.1%。教授の女性比率も1割に満たない。上野さん以外に入学式で祝辞を述べた女性は、04年度以降では緒方貞子さんだけだった。瀬地山教授は「男女比は、大学だけで解決できる問題ではない。上野さんの祝辞は社会に向けた投げかけでもあった」とみる。
入学式で・・困惑も 上野さんに依頼した理由について、東大は「祝辞を行う者の選定経緯は公表していない」とするが、新入生の受けとめは様々だ。「日本最高峰の大学で、これだけ学生数に男女差があるのは問題。入学式の場で指摘してくれたのはよかった」。埼玉県の私立校から文Ⅲに進学した女子学生は話す。高校では国公立大をめざす女子も多かったが、祖父母世代から「女の子がそんなに難しい大学に行かなくても」と言われた子が複数いたという。都内の私立校から文Ⅰに進んだ男子学生も、「男女差別が残っているんだとわかり、目を覚まされたような思いだった」。一方、神奈川県の私立校から理Ⅰに進学した男子学生は「説教されている気分になった。式で言うべきことか、と複数の男子が言っていた」と打ち明ける。「今はピンとこなくても、いずれ心に響いてくるのでは」と言うのは、東大出身でフリーランスの広報やライターとして働く平理沙子さん(28)だ。就職活動で、男子は早々に内定を得ていくのに、女子は苦戦。面接では「なぜ東大に入ったのか」と根掘り葉掘り聞かれ、東大女子が「こだわりが強すぎる人」のように見られていると感じた。「大学、就活、就職と進むうちに、男女の置かれた状況の違いに違和感が増していった」
「大学にも危機感」 祝辞への反響を受け、東大新聞は5月10日まで、賛否などを尋ねるウェブアンケートを実施中だ。これまでも「東大女子参加不可」のサークルの存在などについて特集を組んできた。男性編集部員で工学部3年の高橋祐貴さんは「祝辞は重要。ジェンダーを取り上げたのは時勢にかなっている」と指摘する。「大学も危機感を持っているのだろう。祝辞は、新入生や東大の構成員、そして社会に向けた『男女比を改善しなければ』という東大からの強いメッセージだと思った」(山下知子、三島あずさ)

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